「シリコンバレーから将棋を観る」を読む

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06/17/2009 by kaztaira

遅ればせながら、「ウェブ進化論」で有名な梅田望夫さんの話題の本「シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代」を読みました。

 

梅田さんの文章の凄みは、極めて情報の密度が濃く、しかも的確でわかりやすい点です。膨大な勉強量から抽出されたのだな、ということが一読でわかる文章。「ウェブ進化論」はまさにそんな本でした。さて、その密度の濃い文章が、将棋を描くとどうなるのか?

 

私も小学生のころは、今と違って家にテレビゲームもなかったので、将棋で遊んだ記憶はあります。ただそれ以降は、特段の関心を持つこともなく、今に至っています。

 

この新著は、近所の書店では当然のことながら将棋コーナーの書棚にありました。また、書名からも、シリコンバレー在住の経営コンサルタントである梅田さんが、趣味の将棋の本を初めて書かれたんだな、と理解するのが普通です。それは間違いとはいえません。これは将棋本です。

 

「指さない将棋ファン」である梅田さんの羽生善治論、2008年の羽生さんのタイトル戦のウェブ観戦記、羽生さんとの対談。駒の並び、駒の動きが頭に入ってこなければ、一部は読み進めるのも難儀な本でもあります。

 

ただ、読み終わった後の印象は、全く畑違いの本を読んだ、という感じではありませんでした。「ビジョナリー」「知のオープン化」「イノベーション」「グーグル」。この本で使われるキーワード、梅田さんが描く世界観は、「ウェブ進化論」と直線でつながっているものでした。

 

「ウェブ進化論」を読んだ方ならご存じのように、その帯を書いているのは羽生さんです。さらに、「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」という羽生さんの言葉を巡る「高速道路」論は、その後の「ウェブ時代をゆく」でもさらに展開されています。そして、折りに触れ、将棋の世界が参照されている。

 

これまで、「シリコンバレーから」「現代」を語ってきた梅田さんが、「羽生善治」を軸に、「将棋を観る」現場から腰をすえて描いたのが、この新著。将棋を通して描かれているのは、やはり、ものすごいスピードで変わり続ける「現代」でした。

 

しかも、この本は4月下旬の発売前に梅田さんが「新著『シリコンバレーから将棋を観る』は、何語に翻訳してウェブにアップすることも自由、とします」と宣言。あっという間に英訳、仏訳などのプロジェクトが立ち上がり、英訳はすでにネットで公開されています。

 

この本が持つ高揚感、さらにその回りにわき起こった高揚感は、梅田さんのキャラクターもさることながら、シリコンバレーという場所が持っている空気に近い感じがします。

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