スパコンとPS3とインターネット

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12/02/2009 by kaztaira

次世代スーパーコンピューター施設

行政刷新会議の事業仕分けですっかり有名になってしまった次世代スーパーコンピューター「汎用京速計算機」。ブログやツイッター界隈では、この件と合わせて、ソニーのゲーム機「プレイステーション3(PS3)」の話がちらほらと参照されている。二つを結ぶキーワードは「ペタフロップス」。

京速計算機の計画は、総額1230億円をかけ、2012年度完成をめざして10ペタプロップスの演算能力を持つ国産スパコンをつくるというもの。フロップスは1秒間に何回の演算ができるかを表す値で、ペタとは1000兆のこと。その10倍は「京(けい)」という単位になるため「京速」の名前がつく。

半年ごとに発表される世界のスパコンランキングの今年11月の結果では、1位となったのは、前回2位のクレイ社「ジャガー」で、1.76ペタフロップス。2位に転落したIBM「ロードランナー」も、08年6月のランキングで初めて1ペタフロップスを突破。以来、1位を守ってきた。

スパコンの開発競争は、このペタの単位を巡っている。そして、初のペタマシン、ロードランナーに使われているプロセッサが、PS3に使われている「セル」の高性能版だ。しかも、そのPS3をネットでつないで「ペタフロップス」を実現させているプロジェクトがある。

それが「フォールディング@ホーム」と呼ばれる米スタンフォード大の取り組みだ。世界中のパソコンなどをインターネットで結び、未使用の演算能力を利用して、たんぱく質解析などの計算を分散処理するという「分散コンピューティング」のネットワーク。地球外生命体探しで知られる「SETI@ホーム」と同じ考え方だ。

「フォールディング@ホーム」のプロジェクト自体は00年から始まっているが、07年からPS3でも参加できるようになり、今では100万台を超しているようだ。

詳しくは、今年2月に夕刊に掲載した連載「ネットはいま」第2部の「ゲーム機を持ち寄る」でも取り上げているで、そちらも併せて読んでみていただきたいが、07年9月には、その演算能力が1ペタフロップスを超えたことで、「世界で最も強力な分散コンピューティングネットワーク」としてギネスが認定。同月、PS3のネットワークだけでも1ペタフロップスを突破。今は、ネットワーク全体で4.8ペタフロップス、画像処理専用プロセッサなどの処理能力か加味した試算値では8.6ペタフロップスの演算処理能力があるようだ。

PS3は、「セル」が200ギガ(10億)ペタフロップス、画像処理専用プロセッサもあわせると、1台で2テラ(1兆)フロップスレベルの演算能力があり、価格もハードディスク容量120ギガバイトで3万円を切っている。「PS3が5000台でスパコン」(2テラ×5000=10ペタ)などと言われるゆえんだ。

ニュースサイトアルステクニカは、米国防総省は2200台のPS3を追加調達し、すでにある336台とあわせてネットワーク化し、リナックスベースのOSを走らせる計画、と報じている。

一方で、スパコン競争もとどまる気配はなさそうだ。12年稼働予定のIBMの「セコイア」は20ペタフロップスと言われ、さらに「エクサフロップ・コンピューター」(エクサはペタの1000倍)の取り組みも始まっているらしい。

米国防総省予算で誕生したインターネットは、今年40周年を迎えた。その、そもそもの発想は、各大学や研究機関でそれぞれ独立して運用されていた大型コンピューターの資源を共有することで、研究予算を効率的に運用できるというものだった。「フォールディング@ホーム」など、その発想の延長線上にある取り組みだろう。さらに、クラウド・コンピューティングなど、「タダ同然」とも言える廉価なサービスも広がる。

スパコン競争から「降りる」必要はないだろうが、スパコンの未来は「京速」だけ、というわけでもなさそうだ。

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