ウェブは、死んだのか?

コメントする

09/28/2010 by kaztaira

ウェブは死んだ――。そんな記事が相次いで、掲載されている。

 一つは、そのものずばり、ワイアード9月号掲載の「The Web Is Dead. Long Live the Internet」。「ロングテール」「フリー」で知られる同誌編集長のクリス・アンダーソンさんと、編集者のマイケル・ウォルフさんが筆者だ。
 「ウェブは死んだ」と言われても、多くの人はピンとこないのではないか。なぜなら、ウェブ=ネット、という理解が一般利用者の通り相場だから、きのうまで動いていたネットは、きょうもいつも通りに動いている。全然、死んでないじゃない、というわけだ。
 そう、ネットは全然死んでいない。公開から20年たったワールド・ワイド・ウェブの存在感が、どんどんと薄れていっている、という話だ。
 わかりやすいのは、iPhoneやiPad、アンドロイド端末。各サービスごとに、専用のプログラム(アプリ)をダウンロードし、動かしている。あらゆるデータ、サービスが、汎用のウェブブラウザ経由で提供される、ワールド・ワイド・ウェブが「開かれたネット」なら、専用アプリベースのこれらの端末は、「閉じたネット」とも言える。そして、このモバイルからのネット利用は、今後ますます増加が予想されている。
 それだけではない。インターネット対応型のテレビゲーム機、ピア・ツー・ピアを利用した通話サービス「スカイプ」・・・。専用プログラムの「閉じたネット」の利用はその比重を増し続ける。
 ワイアードが掲載するシスコによる推計値では、米国のネットトラフィックの割合で、最も多いのは動画で51%、そして、ウェブとピア・ツー・ピアが同数の23%。2000年ごろに比べると、ウェブの比率は半分以下に落ちているのだ。
 一つの背景は、課金だ。無料が前提のブラウザベースのネットから、課金へと囲い込みしやすいアプリベースのネットへ。そして、ウェブは死んだ――。
 もう一つの記事は、アトランティックの7月/8月号の「デジタルフロンティアの終焉(Closing the Digital Frontier)」だ。
 「ウェブブラウザーが支配する時代は終焉を迎えつつある」と記事は述べ、アプリとスマートフォンと課金の新時代がやってきた、と説く。スチュアート・ブランドさんのテーゼ「情報はフリー(無料/自由)になりがたる(Information wants to be free )」は、「情報は高価にもなりがたる」と続く。そして、情報は「課金をされたがる」なのだ、と言う。
 こちらの記事も、論旨はワイアードとほぼ歩調があっているが、「開かれたネット」の歴史的経緯に重点を置いている。
 この議論は、ハーバード大バークマンセンター創設者で教授のジョナサン・ジットレインさんが昨年出した「インターネットが死ぬ日 そして、それを避けるには」に詳しい。
 ジットレインさんは、アプリベースの「閉じたネット」は、様々なアイディアやサービスを生み出す現在の「開かれたネット」の肥沃さを失わせ、「ネットを死なせてしまう」危険がある、と訴える。
 誕生から40年が過ぎたインターネットは、これからどこへ向かって行くのか。大きな節目に差し掛かっていることは、間違いないのだろう。
広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

アーカイブ

ブログ統計情報

  • 544,886 ヒット
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。