メディア再編成の時期のチャンス

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10/10/2010 by kaztaira

『起業家ジャーナリズム』とは」、「ジャーナリズムの『新世界』」、「クラウドソース化するニュース」で紹介してきた「国際新聞編集者協会」(IPI)とポインター研究所のレポート「すばらしい新聞界(ブレイブ・ニュース・ワールド)」。

 きょうは、私の友人でもあるダン・ギルモアさんのエッセイ「ジャーナリズムの改革:七つの特徴と六つの取り組み」を紹介したい。
 ギルモアさんは、シリコンバレーの地元紙「サンノゼ・マーキュリー・ニュース」の元コラムニストで、ジャーナリズム2.0ともいうべきメディア環境の変化を描いた「ブログ 世界を変える個人メディア」(拙訳)の著者。現在はアリゾナ州立大のジャーナリズム・マスコミュニケーション大学院で、デジタルメディアの起業家育成のための「ナイト・センター」のディレクターを務めている。
 猛威をふるうコスト削減の波、極端な投資の手控え、そして「起業家思考」の活用の失敗――ギルモアさんは、既存メディアの厳しい現状を指摘していく。「だが、ジャーナリズムの未来を悲観していると思ったら大間違い。私は極端な楽観主義者だ」。その理由として、既存メディアの内外にベンチャー的な文化が浸透していきていることをあげる。背景には、ほぼ利用コストゼロのウェブサービスの登場によって、様々な実験的取り組みが可能になり、実際に進行しているのだという。
 そのキーワードは「生態系(エコシステム)」と「多様性(ダイバーシティー)」。巨大メディアが君臨してきたメディアの生態系は、いまや新たなプレーヤーとともに、多様化している。
 その生態系を生きる上での七つの特徴。メディア所有:「所有」するのは株ではなく、ニュースの生成過程とその結果。フォーカス(集中):集中なくしてベンチャーの成功なし。曖昧さ:ベンチャーは曖昧さと混乱に満ちている。経営資源:ベンチャーは使えるものは何でも使え。スピード:起業家は素早く動く。イノベーション(革新):グーグルならずとも、効果的に徹底的に考え抜くことで、イノベーションは起こせる。リスク:起業家にリスクはつきもの。気にかけつつ、気にしすぎず。
 そして、新時代のジャーナリズムへの六つのステップ――その1:ゴールに向かって全身全霊をかけて走り出せ。その2:ありモノでも人の手でも、オープンに何でも使って素早く開発。その3:準備しすぎては機を失う。まずはサービス公開。その4:そしてしばらくはベータ版モードで、問題発見と改修の日々。その5:失敗が見えたら手じまいも素早く。その6:小さな失敗ならそれを糧に再挑戦を繰り返せ。
 「大半のベンチャーは失敗する。でもそれはこの生態系の欠点ではなく”特徴”だ」とギルモアさん。
 村上春樹さんのインタビュー集「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」を読んでいると、こんな一節があった。
 「僕はむしろ文学というものを、他のものでは代替不可能な、とくべつなメディア・ツールとして、積極的に使って攻めていきたいというふうに考えるんです。(中略)だって文学っていうのは最古のメディアのひとつですからね。再編成の時期というのは言い換えれば、なんでもできるチャンスに満ちた時期のことでもあるんです」
 メディア観というのは、意外なところでなんとなく通底しているものだ、と思う。
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