陰気なハリー・ポッターとSNS

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01/17/2011 by kaztaira

これは一種のハリー・ポッター映画だ。すこし陰気な感じだが。

 最年少の億万長者と言われるフェイスブックの創業者、26歳のマーク・ザッカーバーグCEOをモデルにした映画「ソーシャル・ネットワーク」が15日から日本でも公開された。デビッド・フィンチャー監督は、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」「セブン」などで知られるし、脚本のアーロン・ソーキンさんはテレビドラマ「ホワイトハウス」を手がけた。
 ただ、ヒットの要素がさほど多いわけではない。私が名前を知っていた出演者はジャスティン・ティンバーレイクさんぐらい。フェイスブック自体も、5億人以上の利用者を抱える世界最大の交流サービス(SNS=ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とは言え、日本では2000万人以上の利用者がいるミクシィなどに比べて、利用規模も一桁少なく、知名度もこれからといったところだ。
 ただ、細かいところでは、結構楽しめる映画だと思う。
 原作のベン・メズリック著「fecebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男」にかなり忠実で、登場人物は、いずれも実名。マイクロソフトのビル・ゲイツさんや、ローレンス・サマーズ米国家経済会議委員長(フェイスブック創業の2004年当時はハーバード大学長)、ティンバーレイク演じるショーン・パーカーさんはP2Pファイル共有サービス「ナップスター」の共同創業者、オンライン決済サービス「ペイパル」の共同創業者ピーター・シエルさん、2008年の米大統領選でオバマ陣営のソーシャル・メディア戦略を担当したフェイスブック共同創業者のクリス・ヒューズさん――なかなか有名人ぞろいだ。
 IT業界を題材にした映画は、ステレオタイプで戯画化されたコンピューターオタクが登場するものだ。この映画でも、主人公ザッカーバーグの描き方もそれに近いが、あまり極端な戯画化ではなく、シリコンバレーあたりにはこういう人がいそうだな、と思えるリアルさがある。
 そして何より、映画全体の基本的なつくりが、まさにハリー・ポッターの学園ドラマだ。ホグワーツ魔法魔術学校とハーバード大学の違いはあるが、舞台装置は古い学校のキャンパス。ハリーが使うのは魔法だが、ザッカーバーグが使う魔法はウェブだ。そのウェブの魔法で、一夜にしてキャンパスの風景を変え、ネットビジネスの勢力図を書き変える。魔法は、本物っぽく見えるところがキモになるが、「ソーシャル・ネットワーク」では、セリフの中の技術用語の扱いも、割とそれらしく書き込んであるようだ。
 その魔法が大学から大学へ、国から国へと広がってく様子が、エンターテインメントとしてうまく構成されている。回りを固めるのが、ハリー・ポッターの先生たちと違って、シリコンバレーの弁護士軍団というのが、今風か。
 現実には、そのサービスは世界を覆い、個人資産推定69億ドル(約5700億円)、企業評価額500億ドル(約4兆円)とも言われる金を生み出した。その意味ではハリー・ポッターの魔法とはまた違ったすごみが見えてくる。

 ドラマに登場する固有名詞を含めて、IT業界のその感じを楽しめるかどうかで、映画の評価は分かれるかもしれない。私が見たのは渋谷で、初日の朝10時。どこからみてもIT業界っぽい人が目についた。

UPDATE:ゴールデングローブ賞で作品賞、監督賞など4冠に輝いたようです。

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