結局、よくわからない「番号制」

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07/29/2011 by kaztaira

あす30日(土)は、都内で開かれるシンポジウム「社会保障・税番号(マイナンバー)制度におけるプライバシー・個人情報保護のあり方」を見に行く予定だ。政府の「税と社会保障の一体改革」と連携して、国民一人ひとりに「マイナンバー」という名称の「番号」をふる、いわゆる「番号制度」のあり方を議論するという。この制度についての、政府の検討会の「個人情報保護ワーキンググループ」座長を務める堀部政男・一橋大学名誉教授らが登壇する。ニコニコ生放送やユストリームでも配信されるようだ

 この問題については1年ほど前にも、「共通番号と国民IDと個人情報保護」で取り上げている。今回は、政府・与党社会保障改革検討本部(本部長・菅直人首相)が6月30日に「社会保障・税の番号制度」大綱を正式決定し、①今秋以降に「番号法」案などの関連法案提出②法案成立後の第三者機関の早期設置③2014年6月に番号交付④2015年1月以降、社会保障・税務分野の可能な範囲で利用開始、とそれが具体的に動き出そうとしているタイミングだ。
 そもそも、という話で言うと、「住民の利便性の向上と行政の合理化」をうたって、すったもんだの末に立ち上げたものの評判芳しからぬ住民基本台帳ネットワークとどう違うの、という疑問を持っている人たちも少なくないんじゃないだろうか。
 社会保障・税番号大綱に書かれているのは「行政に過誤や無駄のない社会」「国民にとって利便性の高い社会」。それを「IT」と「番号」で。しかも、「番号」は「住民票コード」と一対一対応で、さらに「番号」の利用状況などを本人が確認するウェブサイト「マイ・ポータル」へのアクセスにはICカードが必要で、それも「可能な限り」住民基本台帳カードを活用……。何がどうなってるかわかりますか?
 もっとそもそもで言うと、「番号」で「行政の過誤や無駄」が無くなり、「国民にとっての利便性」が高くなるのか? もちろん、番号をふっただけでは何も起こるはずがない。具体的な使い方をどうするのかというデザイン次第なんでしょう。
 大綱を予習して、私が理解した(つもりになった)「番号制度」の大枠はこんな感じだ。ここで言う「番号」は、これまで〝共通番号〟と呼ばれていたものだろう(たぶん)。その利用分野は「年金」「医療」「介護保険」「福祉」「労働保険」「税務」の六つ。まず、国民一人ひとりに「住民票コード」に対応する「番号」をつける。
 関係する役所は、この「番号」にひもづけて個人情報を管理する。この個人情報を、役所をまたがってやりとりする、というのがこの制度のキモなのだが、その際に「番号」を直接使っていくと、結局、それをキーにして、名寄せなどもできてしまう。
 そこで、複数の役所間のやりとりには「情報連携基盤」というブラックボックスのような仕組みをかませて、その中で「符号」とその暗号化したものを介することで、それぞれの個人情報を必要な範囲でリンクさせることはできるが、名寄せされる危険は避ける、というデザインになるようだ。ここでいう「符号」とは、これまで「国民ID」と呼ばれていたものかも知れない(たぶん)。
 大綱は住基ネットを巡る2008年の最高裁合憲判決を踏まえ、「個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないこと」を番号制度の要件の一つとしてあげていて、それに沿った組み立てということらしい。
 そして、「マイ・ポータル」というウェブサイトで、自分の個人情報がどう扱われているか自分でチェックできるということらしい。そして、そのチェックにはICカード(住基カード?)がいるという。パソコンになじみのない人たちには、結構、ハードルが高そうだ。
 住基ネットの利用も含めて、本人確認などはあるものを使って余計な金はかけない、なおかつ、個人情報は分散管理したままの状態を保つ、というのがおおよその趣旨のようだ。一から金ビカのシステムを組んでいくのが現実的でないことは、何となく理解もできる。
 そして、最高裁判決を踏まえた別の要件として大綱があげているのが、「第三者機関等の設置により、個人情報の適切な取扱いを担保するための制度的措置を講じていること」だ。
 今春に終わった長期連載「メディア激変」でも取り上げたが(〈メディア激変201〉法と安全―10 「仲間はずれ」の日本)、海外ではプライバシー・コミッショナーなどの名称でプライバシー・個人情報保護の監視を行う機関の日本版「第三者機関」の設置も、制度の大きな柱の一つだ。
 その機能としては①行政などの「番号」に関連する個人情報の取り扱いの監督②関連する苦情処理③「番号」システムの監査、などがあげられている。首相の下に置かれ、違反などについては、首相に対して「勧告」することができる、としている。この機関は、個人情報保護を考える上で、かなり重要な役割を持つことになるだろう。
 「独立した中立的な立場で、国による安全規制についての基本的な考え方を決定し、行政機関ならびに事業者を指導する役割を担っています。このため、内閣総理大臣を通じた関係行政機関への勧告権を有するなど、通常の審議会にはない強い権限を持っています」
 似ているけれど、これはこの第三者機関についての説明ではない。福島第一原発の事故を巡って議論を呼んだ原子力安全委員会のホームページにあった説明だ。最近、似たような感じの話を聞いたことがあったな、と思い出して読んでみた。

 もちろん、両者の位置づけも機能も違うのだろうけれど……どうなんだろう。

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