『ブログ』邦訳全文公開の理由

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09/29/2011 by kaztaira

昨日、ダン・ギルモア著、拙訳の『ブログ 世界を変える個人メディア』(2005年、朝日新聞社)の全文PDFを、当ブログで無料公開した

柔軟な著作権運用を進める国際的な取り組み「クリエイティブ・コモンズ」のライセンス(CCライセンス)を使い、「著作権者のクレジット表示」「非商用」「二次利用の場合には同じ条件でのみ頒布」という条件で、自由な利用を認めるという内容だ。

 著者のダン・ギルモアは、情報の自由な流通と知識の共有は、社会にとっても、さらにビジネスにとってもメリットが大きいと考えており、『ブログ』の原著〝We the Media〟、さらに、新著『あなたがメディア! ソーシャル新時代の情報術』の原著〝Mediactive〟も、同じCCライセンスで公開している。
 ただ、ダン・ギルモアは根性が入っているので、有料の紙の本(とデジタル版)の発行と〝同時に〟ネット上の無料公開を行っている。出版に際して、その取り組みが出版社に理解されない苦労のほどは『あなたがメディア!』にも縷々つづられている。
 私は訳者としてはとてもそんな勇気はないので、2005年の『ブログ』発行時には、紙の本のみの出版だった。ただ、今回の『あなたがメディア!』については、担当編集者とも話し合って、日本語版用に新たに書き足してもらった「第0章」と「訳者解説」を同じCCライセンスで公開することにした。本の全体像がつかみやすいこの二つで、内容の一部だけでもしっかり読んでもらってから、本の方を手に取ってもらえたら、と考えたからだ。
 もちろん、プロモーションの一環ではある。ただ、まずは事例を出すことで、CCライセンスでできること、できないことが少しでも見えてくれば、という試みでもあった。
 そして、発行から6年が経過した『ブログ』。すでにアマゾンにも在庫はなく、再版は未定。ビジネスとしては事実上終了している。であれば、せっかくつくった本を死蔵しておくのはもったいない。しかも、『あなたがメディア!』は『ブログ』の続編であり、合わせて読むことで、より長いスパンでメディア激変の全体像が見えてくるという構成だ。
 幸いいずれも同じ版元(朝日新聞出版)。調べてもらったら、『ブログ』のPDFデータが保存されていることがわかった。版元、装幀家、原著者、原著版元ともやりとりをし、了承をもらって、公開することができた。出版社が出した日本の書籍で、全文をCCライセンスで公開している事例は、寡聞にしてあまり知らない。公開を理解してもらった関係者には、とても感謝している。
 書籍ビジネスは持続可能な形で進めるとして、再版の予定もなくビジネスが事実上終了した後、著作権が切れるまでの期間、中ぶらりんに「知識」が死蔵されるのなら、それをデジタルな形で生かせれば、著者、読者双方にメリットがある。
 今回は、特に理解のある関係者がそろっていた、という特殊事情はあるかもしれない。ただ、いくつかの話し合いと時間は必要だったが、そんなに難しいことでないのは、やってみてよくわかった。
 昨日もお知らせしたが、ダン・ギルモアの話を聞いてみたいという人は、10月11日(火)午後7時から、朝日新聞東京本社の読者ホールでトークイベントがある。定員100名。入場無料。元「報道ステーション」コメンテーターの一色清・webronza編集長との対談も。申し込みはこちら。
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