知的生産の技術とイノベーション

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11/15/2011 by kaztaira

「社会には、大量の情報があふれている。社会はまた、すべての人間が情報の生産者であることを期待し、それを前提としてくみたてられてゆく。ひとびとは、情報をえて、整理し、かんがえ、結論をだし、他の個人にそれを伝達し、行動する。それは、程度の差こそあれ、みんながやらなければならないことだ」

 ジャーナリスト/ブロガー、ダン・ギルモア氏の『あなたがメディア!』からの引用だ、と言っても違和感はないだろう。まさにソーシャルメディア時代のメディア論だとも言える。だが、ご存じの方は先刻ご承知のように、これは古典的名著からの引用だ。
 昨年亡くなった梅棹忠夫氏の、1969年7月のベストセラー『知的生産の技術』の一節だ。この年の10月、インターネットの前身、アーパネットがようやくスタートする、そんな時代の慧眼だ。社会のイノベーションを見通す、まさにビジョナリーだ。
 梅棹氏のようなビジョナリーにはコンピューターの普及と、40年後のメディアの世界が見通せたのに、私のような非才の身には、今日ただいまの状況も、うまく見て取ることはできない。
 デジタル化、ネットワーク化、グローバル化。その大潮流の中で、「未来」を見通すとはどういうことか。昨日はそんなことを考えながら、東京・秋葉原で行われた「近未来フォーラム2011―つくってる? みらい―」(デジタルハリウッド大学など主催)を見ていた。
 IT×教育×地域活性をテーマに、教育、自治体、企業の担当者らが参加したイベントだ。
 震災後、菅前首相の下で内閣官房参与として原子力政策のブレーン役を務めた多摩大学大学院教授で、シンクタンク・ソフィアバンク代表の田坂広志氏は、「日本新生の時代―未来を切り開く人材とは」と題した基調講演で、イノベーションを起こせる、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏のような人材が生まれる社会をどうつくっていくか、という問題提起をした。
 田坂氏は、「統合の知」「集合の知」「創発の知」「行動の知」など、ウェブ2.0以降、ソーシャルメディア時代に至るメディア環境の変化を、七つの「進化」という柱で切りとり、求められる「知」のあり方を説く。
 さらにデジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏との対談では、「生まれた時からデジタルが当たり前のデジタルネイティブ世代の登場や、人類の誰もがネットでつながるという環境変化が、私たちに与える影響とは」との問いかけに、「これは新たな次元での人間学。人間の姿をどう学び、どうつかみとるか。ネットは、人間力を高める修行の場」と田坂氏。
 そのデジタルネイティブ世代については、デジタルハリウッド大教授で、ネット上の口コミ解析などを手がけるデータセクション会長の橋本大也氏が、「未来の顧客をとこで探すか? ~デジタルネイティブ世代の思考と行動学~」と題して、分科会の講演で取り上げていた。
 橋本氏は、接触メディアの違い、利用ツールの違いなどから他の世代と対比したデジタルネイティブの特徴を解説。デジタルが当たり前の世代が、実は「アナログな能力への評価が高い〝脱デジタル〟の世代」とも指摘する。
 さらに、デジタルネイティブ世代と企業との共同開発プロジェクトなども手がける中で、この世代と創造的に対話するには「パートナーとして参加を促す」「ソーシャルメディアのコミュニケーションから行動を観察していく」などのポイントが重要、とも述べた。
 40年後は見渡せない。だがそのヒントはなお、梅棹氏の言葉の中にあるのかもしれない。
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