「オープンなネット」を巡る対話

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11/24/2011 by kaztaira

昨夕は、村井純氏(慶応大学環境情報学部長)と伊藤穰一氏(マサチューセッツ工科大学[MIT]メディアラボ所長)の対談「Scanning the Earth―科学技術の未来―」を六本木の東京ミッドタウンで見てきた。

慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の研究成果発表会「SFC Open Research Forum 2011」の最後のセッションだった。

 両氏が、元マイクロソフトのチーフソフトウェアアーキテクト(CSA)、レイ・オジー氏らとともに現在取り組んでいるのが、福島第一原発の事故による放射線データを独自に測定し、ネット上で共有していくプロジェクト「セーフキャスト」だ。
 元になったサイトは米ポートランドのウェブデザイナーらが震災1週間後に立ち上げ、公開されていた放射線データを地図上に集約、可視化していった。プロジェクトではそれに加え、募金サイト「キックスターター」で約3万6900ドルの資金を集め、慶応大のScanning the Earth Project(地球環境スキャニングプロジェクト)と協働で、内外約150人のボランティアも含めて、独自に線量計を調達し、測定活動を続けている。
 約100カ所の固定計測器と、計測器装備の自動車による計測でのべ100万件地点での放射線データをマップ化。計測データを誰でも自由に使える著作権無し(パブリックドメイン/クリエイティブ・コモンズ0<ゼロ>)の状態で公開している。「著作権があると、他のデータと組み合わせるといった使い方ができない。みんなが使えるデータであることが重要」と伊藤氏。
 ヤフーではこのデータを「放射線情報」として、マップ化して公開している。
 伊藤氏は、独自の測定データを共有することについて、文部科学省などが大学や自治体レベルでの測ったデータを公開しているのに対し、住民の生活に密着した「細かいデータを計ることに意味がある」と述べた。
 また、村井氏は、文科省のデータも「当初は紙で来た。公開はしても、システムで読み取れない」状態だったと指摘。伊藤氏も「データをオープンにするといっても、それがソフトで使えるものでなければ」と応じた。
 また、学術専門誌の情報が、なかなかネットで共有されない状況についても、「問題が複雑化し、とても一つの研究室では解決できなくなっている。分散型で知識をシェア(共有)していかないと」と伊藤氏。
 村井氏も、「元はAT&Tベル研究所で開発されたOS(基本ソフト)ユニックスのバークレ-版がオープンソースになり、そこに(インターネットの通信規格)TCP/IPが載っていて、みんながコピーし、どんどんいいソフトが開発されていった」とインターネットのオープンな成り立ちを説明した。
 伊藤氏は、使いやすい新たな著作権の運用を掲げる国際団体のクリエイティブ・コモンズの会長も務めており、今の著作権のあり方に疑問を投げかける。「知的財産はもともと、イノベーションを起こしやすくする仕組みとして考えられたもの。だが、今は金儲けのために、逆にクリエイティビティを圧迫している」
 さらに、電子フロンディア財団やクリエイティブ・コモンズ、モジラ・プロジェクトなどが反対を訴える、米議会で審議中の「オンライン海賊行為防止法案(SOPA)」の問題点も指摘。著作権侵害とされたサイトへのネット接続を遮断するなどの内容に、「ほとんどのネットサービスが存在できなくなる」(伊藤氏)とし、日本への波及の危険性も訴えた。
 オープンなネットとイノベーション。当たり前と思い込んでいるその重要性を、改めて確認しなければならないのかもしれない。

 

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