発信力、メディア化、そして契約力

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12/05/2011 by kaztaira

いただきものの本が、いくつかいただきっぱなしになっていた。3冊をご紹介。それぞれ、メディアで起きている大きな変化を巡って、独自の視点で書き切っていて、面白い。

ブログ「ガ島通信」の藤代裕之さんの『発信力の鍛え方 ソーシャルメディア活用術』(PHPビジネス新書)は、まさにそのタイトル通りの本。ソーシャルメディアを通じた「発信力」さらに「つながる力」に焦点をあてて、ものすごく具体的に説明していく。

 「ものすごく具体的」というのは、筆者の藤代さんが新聞記者出身であり、ブロガーであり、ウェブサービスの実務者であり、加えて大学でもメディアリテラシーやライティングの講義を持ち、ジャーナリスト教育のプロジェクトも手がけているという、そのバックグラウンドにも理由があるだろう。
 説明のそれぞれが、実践のフィルターをくぐっているから、現実的で曖昧さがない。一人ひとりがメディアになる社会の、目配りのきいた教科書になっている。
 かなり手前味噌かつ宣伝になって申し訳ないが、『発信力の鍛え方』を読んだ後に、拙訳のダン・ギルモア著『あなたがメディア! ソーシャル新時代の情報術』を読むと、共鳴するポイントがあることに、気づかれるかも知れない。
 藤代さんがどちらかというと個人を主人公にしているのに対し、小林弘人さんの『メディア化する企業はなぜ強いのか? フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識』(技術評論社・生きる技術!叢書)も、タイトル通り。
 「誰でもメディア時代」には企業もメディア化を避けて通れない、という明快な論点から、こちらもまた具体的な考え方を提示する。紙とウェブの両方の分野で様々なメディアを立ち上げ、プロモーションの施策を手がけてきた経験に裏打ちされていて、説得力がある。
 さらに、何でもフリー、とにかくソーシャル、といった単純化された誤解を解こうとしているのも、『メディア化~』の特徴だろう。ベストセラーになった『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』の監修・解説を担当した立場から、「よいフリー・わるいフリー」の仕分けをし、「大切なのは、自社メディアをソーシャル対応にすること!」と自社メディアとソーシャルメディアの位置関係を明確に整理している。
 そして3冊目、弁護士の福井健策さんの『ビジネスパーソンのための契約の教科書』(文春新書)。タイトルからして「教科書」。その名の通りに、契約の実務ガイドのパートもある。ただ、それだけではない。
 コンテンツ契約の実務者の視点、「契約力」という考え方から、多様なコンテンツが行き交うソーシャルメディアの時代を切り取っている。そして、コンテンツの流通を別の角度から見れば、そこには著作権があり、法律と契約とビジネスがある。という当たり前かつ極めて複雑な仕組みを、軽妙に、シンプルに説き明かしている。
 私はシリコンバレーに駐在していた時に、契約書を扱う経験もあったので、契約書についての日米の意識の違いなど、『契約の教科書』の論点は腹に落ちること多々あった。
 ただ、今さら思うのだが、私は本を読むのが遅い。

 

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