ロボットジャーナリズム時代の記事

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03/27/2012 by kaztaira

前回「デジタル情報は雑多になりたがる」では、『朝日新聞記者のネット情報活用術』でも紹介した、紙の情報とデジタル情報の違いについて取り上げた。

 ただ、情報がデジタル化することによる変化は、さらに新しいステージを迎えている。

 スタンフォード大学の客員研究員で雑誌「フォーリン・ポリシー」の編集者/ブロガーでもあるエフゲニー・モロゾフ氏が先週19日、オンライン雑誌「スレート」にこんな記事を掲載した。「ロボットが私のピュリツァー賞を盗んだ!

 

 話題のベンチャー企業「ナラティブ・サイエンス」が提供している記事の自動生成ソフトの紹介だ。30社ほどの顧客がいるといい、有名なのは雑誌「フォーブス」だ。企業の決算関連の記事作成に利用しているようだ。ソフトにデータを入力すると、ものの数秒でデータの読み解きも含めた記事が出来上がるのだという。
 この自動生成記事を、さらに金融取引システムが読み解いて、自動取引に生かしていく様子は、「まさに、ロボットによるロボットのためのジャーナリズムだ」とモロゾフ氏。そして「唯一いい面があるとすれば、その結果、金を手にするのは人間だということか」
 さらに、恐ろしいことが書いてある。自動生成ソフトは、安い(500語あたり10ドル)、早い(ものの数秒)、文句を言わない(笑)、そして数百万というツイートを解析し、記事化することも出来てしまう。
 そしてこの傾向の先には、利用者のネット使用履歴を反映した極端な記事の「パーソナル化」が訪れるのではないか、と指摘している。同じ記事なのに人によって盛り込まれるデータが違う。そして、人々はその違いに気づかぬまま、思考はどんどんタコツボ化していく…と。
 これに対して、記事の自動生成やパーソナル化は、そう悪いことではないのは、とブログで主張したのがトムソン・ロイターのデータ・イノベーション部長、レグ・チュア氏だ。
 株価の記事を読むなら、自分の持ち株に急な動きがないかは知りたいし、病院のランキングの記事なら、近所の病院がどの当たりなのか知りたい。それに、市役所の汚職の記事なら地元選出の議員が絡んでいるのかどうかも――そう、チュア氏は指摘する。
 これまでは、記事では一般的な傾向について書き、読者が具体的なデータを欲しい時には、(例えば株価なら商況欄を)自分で探して…という組み合わせだった。だが、読者がいちいちデータベースなどを探し回らなくても、個別に必要なデータを、分かりやすい形で盛り込んでいけばいいのでは。
 これまでは技術的に不可能だったが、記事の自動生成技術を使えば、それが可能になってくる、とチュア氏。だが、そのためには、自動生成しやすいよう、データの入れ替えが可能なように、記事の書き方、組み立て方も変えていかなかれば、と言う。

 未来のジャーナリズムの議論は、ここまで来ている。

 

 

『朝日新聞記者のネット情報活用術』

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