大きすぎてわからない

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07/17/2012 by kaztaira

ハーバード大学バークマンセンターの上席研究員、デビッド・ワインバーガーさんが今年初めに出していた新著『大きすぎてわからない(TOO BIG TO KNOW)』(未邦訳)をようやく読み終えた。(※ちなみにこのタイトルは「2B2K」と略すらしい)

 副題がちょっと長いが、本書の内容をそのまま言い表している。「事実はこれまでの”事実”でなく、専門家はいたるところにいて、部屋の中で最も賢いのは部屋そのもの。そんな今の時代の知識を再考する(Rethinking Knowledge Now That the Facts Aren’t the Facts, Experts Are Everywhere, and the Smartest Person in the Room Is the Room)」

 ワインバーガーさんの前作『インターネットはいかに知の秩序を変えるか? ―デジタルの無秩序がもつ力(Everything Is Miscellaneous: The Power of the New Digital Disorder)』や共著『これまでのビジネスのやり方は終わりだ―あなたの会社を絶滅恐竜にしない95の法則(The Cluetrain Manifesto: The End of Business As Usual)』もいい本で、拙著『朝日新聞記者のネット情報活用術』でも取り上げている。
 新著のテーマは「知識」だ。知識とは何か、印刷物としての知識とネットワークとしての知識はどう違うのか。ダーウィン、さらにフランク・ザッパまで、議論は多彩で幅広く深い。その核心は副題の「部屋の中で最も賢いのは部屋そのもの」の部分だ。
 全体がつかみきれないほどの膨大やデータ(ビッグデータと言ったりするが)があふれる中で、知識はだれか特定の個人というより、ネットワークそのものに遍在していく。
 「知識がネットワーク化していく時、部屋の中で最も賢いのは、私たちの前に立って講義をしている人物ではない。部屋の中で最も賢いのは部屋そのもの、つまり部屋の中の人々とアイディアとをつなぎ、それを外部と結びつけるネットワークだ。(中略)私たちは”賢い部屋”をつくりあげる方法を学んでいく必要がある」
 ”賢い部屋”をつくり損ねるとどうなるか。”賢くない部屋”とは、真偽かまわず思い込みが先鋭化する「反響室効果(エコーチェンバー・エフェクト)」やデマや妄想の広がり。それらを防ぐためのネットリテラシーにまで話は及ぶ。
 ざっと目次を紹介するとこんな感じだ。
 プロローグ:知識の危機
 1 知識のオーバーロード
 2 無限の知識
 3 知識の実体
 4 クラウドの専門知識
 5 反響の市場
 6 書籍の流儀、ウェブの流儀
 7 過剰の科学
 8 ネットワークで肝心なこと
 9 知識の新たな基盤をつくる

 これはかなりおすすめ。さすがに誰か書評を書いているかなと思ってググってみたところ、出版後すぐにブロガーの小林啓倫さんが取り上げていた。「【書評】新たな「知識」のあり方を問う一冊”Too Big to Know”」。仕事が早いなあ。

私がおそいのかorz

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朝日新聞記者のネット情報活用術

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