テクノロジーが望むこと

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07/31/2012 by kaztaira

出版されてからもう2年にもなる話題の本をようやく読了した。ケビン・ケリーさんの『テクノロジーが望むこと(WHAT TECHNOLOGY WANTS)』(※邦訳は2014年6月に『テクニウム テクノロジーはどこへ向かうのか?』(服部桂訳)として出版)だ。何しろ400ページというボリュームだ。 ??????????????????????????????????????????????????????????????? ケリーさんと言えば、カウンターカルチャー雑誌「ホールアース・カタログ」の流れをくむ「ホールアース・レビュー」の編集者や、雑誌「ワイアード」の創刊編集長などとして知られ、西海岸でデジタルカルチャーを主導してきた一人だ。

システムとその進化をテーマにした『「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則』や、クリス・アンダーソンさんの『フリー』の源流とも言えるベストセラー『ニューエコノミー勝者の条件―ウィナー・テイク・オール時代のマーケティング10則』など、90年代に出版されたものの、今でも古びない著書もある。 ??????????????????????????????????????????????????????????????? さらに、テクノロジー論だけではなく、今年に入ってからも、『シルバーコード(SILVER CORD)』というグラフィックノベルも発表するなど幅広い活動を続けている。 ??????????????????????????????????????????????????????????????? ケリーさんには8年前にサンフランシスコで会ったことがある。友人のダン・ギルモアさんの最初の著書『ブログ 世界を変える個人メディア(We the Media)』の出版記念パーティーの席だった(クリエイティブ・コモンズの主催のこぢんまりしたパーティーだったが、当時の代表だったローレンス・レッシグさんや、著書の版元のティム・オライリーさん、ハワード・ラインゴールドさん、ロータス創業者のミッチ・ケイパーさん、クレイグズリストのクレイグ・ニューマークさんら、出席者の顔ぶれはかなり濃かった)。

この時、「今、テクノロジーについての本を書いているところなんだ」とケリーさんは話していた。 それが『テクノロジーが望むこと』だった。

このタイトルは、「ホールアース・カタログ」を創刊したスチュアート・ブランドさんの「情報はフリーになりたがる(Information Wants to be Free)」のテーゼにもつながる。

テクロノジーの絶え間ない進化と情報の洪水をどう理解し、どうかかわっていけばいいのか、という広大なテーマを、宇宙の起源、生命の起源からネットワーク社会の未来までを見通すという、ケリーさんならではの視点で重層的な議論を組み立てている。

そもそもテクノロジーとは何か。ケリーさんが掲げるイメージは、パイプや配線などのモノとしての対象に限らない。テクノロジーと相互依存する人や社会、法律や文化まで含む大きな進化、複雑化、多様化、可能性のあり方を取り上げる。そして、そんな大きなテクノロジーのことを「テクニウム」という言葉で定義する。

テクニウムは、キラキラのハードウエアよりも幅広い意味を持つ。それは文化、芸術、社会組織、そしてあらゆる種類の知的創造物を含んでいる。ソフトウエアや法、哲学的概念などの無形物もそうだ。そして、最も重要なのは、発明を生み出す衝動。より多くのツールをつくり出し、テクノロジーを生み出し、自己高揚のつながりを実現していくのだ。

数十億年という時系列の中で、テクノロジーはどのような進化の軌跡をたとってきたのか。その方向性と振れ幅。そしてテクノジーは「どうなりたいと望んでいるのか」。それを理解することで、私たちに何ができるのか。

これらの論点を緻密な調査と統計データからずっしりと説き明かしていく。テクノロジーを批判した連続爆弾犯「ユナボマー」の主張に正当性はあったのか。電気製品を排するアーミッシュにとってのテクノロジーとは。議論は幅広い。

テクノロジーの望みに耳を傾ける。それによって、次々とわき起こるテクノロジーにどう対処していったらいいのか、自分なりの指針となる枠組みを見つけることができたと思う。

ケリーさんは、この膨大な論考をそう位置づけている。 連日の猛暑を、激辛カレーで乗り切るのに似た読書体験だ。夏休み向き、と言えるかもしれない。 iPadアプリのダイジェスト版もある。 ??????????????????????????????????????????????????????????????? 生物の進化ともオーバーラップさせながら、テクノロジーの進化をとらえた論考としては、ブライアン・アーサーさんの『テクノロジーとイノベーション 進化/生成の理論』という、ケリーさんとも共鳴する著作があり、合わせて読むと楽しい。 ???????????????????????????????????????????????????????????????

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Twitter:@kaztaira

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