米軍製匿名ネットとPC遠隔操作

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10/16/2012 by kaztaira

ウイルスでパソコンを乗っ取り、遠隔操作で犯行予告を書き込むという事件の報道の中で「Tor(トーア)」という名前がいくつか目についた。

 Torは、知っている人にはかなり以前からおなじみの技術だ。

世界規模でネットワーク化されたサーバー群をランダムに経由。その経路は、サーバーを経由するごとにタマネギの皮のように何重にも暗号化されるため、追跡することは難しい。Tor、すなわちザ・オニオン・ルーター(The Onion Router)の名称はここに由来する。

Torは1990年代から開発が続けられ、そもそもの開発元は米海軍研究所。情報活動のための安全な通信回線の確保が目的だったようだ。その後、ネットの人権擁護団体「電子フロンティア財団(EFF)」の支援を経て、現在の主な支援元は全米科学財団(NSF)とVOAなどの国際放送を管轄する政府の米放送管理委員会(BBG)だという。

専門家向けのアンダーグラウンドなツールというイメージを持ちがちだが、出自は軍用で、今も政府系の資金で運営されているのだ。普通に使うのなら専門的な知識は一切いらず、ソフトを立ち上げるだけでこの匿名通信を利用できる。

Torはかねてから、専制国家の通信規制を回避する手段として、民主化活動家らが活用することで知られている。

一方で、2010年に国際テロ関連の警視庁の内部文書がネットに流出事件でも、このTorが使われていたとされる。

この表現の自由や民主化支援のツールの悪用問題は、このツールの発祥地、米国でも議論を呼んでいるようだ。ボストングローブの今年3月の記事がまさにこの問題を取り上げていた。

「プライバシー保護のソフト、犯罪に利用」(Privacy software, criminal use/ Unintended consequence of Walpole firm’s technology)と題したこの記事では、政府系機関が支援するTorが、児童ポルノや薬物取引の隠れ蓑になっている現実を指摘する。

Torを管理しているのはマサチューセッツ州ウォルポールの非営利団体「Torプロジェクト」。年間予算130万㌦、15人の職員と3000人のボランティアで運営しているようだ。同プロジェクトでは、悪用されるのは技術そのものの問題ではない、と捜査機関からの非公式の協力要請は拒否しているという。

また記事によると、米政府自体も、このツールが軍や捜査機関による秘密裏の情報収集にも使われていることから、その信頼性の低下につながるような介入はするつもりがないようだ。

ただ、捜査機関も黙って見ているというわけでもなさそうだ。Torによって通信経路は匿名化されていても、最終的に金や薬物などリアルのモノは関係者間でやりとりされるわけで、そこに狙いを定めるのだという。

今回の遠隔操作の場合には、そんな狙いどころはどこにあるのだろうか。

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