「天才」アクティビストの死の波紋

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01/14/2013 by kaztaira

日曜日はアーロン・シュワルツさんの自殺のニュースが、ツイッターの画面にあふれた1日だった。「天才」と呼ばれる若きネットのアクティビストが、ブルックリンのアパートの自室で自殺していた、という。

swartzInternet Activist, a Creator of RSS, Is Dead at 26, Apparently a Suicide(NYT)

Internet prodigy, activist Aaron Swartz commits suicide(CNN)

Aaron Swartz, Tech Prodigy and Internet Activist, Is Dead at 26(TIME)

The inspiring heroism of Aaron Swartz(Guardian)

オープンなインターネットに関わるコミュニティーが、こぞってその死をいたんでいる。

マーク・ザッカーバーグさんよりさらに二つ下の26歳という若さだが、その業績はすでにネットの歴史にも刻まれている。

2000年、18歳以下の若手プログラマーを対象にしたアルスデジタ賞を、13歳で受賞。

さらにウェブサイトの更新情報を配信する文書フォーマット、RSS1.0の策定に、黎明期のブログソフトの開発などでも知られるデイブ・ワイナーさんらとともに、わずか14歳で参加する。

ローレンス・レッシグさんが2001年に立ち上げたクリエイティブ・コモンズを技術面で支える(それも15歳で)。2010年から2011年にかけて、レッシグさんが所長を務めるハーバード大学倫理センターのメンバーだったこともある。

Yコンビネーターから得た資金で立ち上げたベンチャーが、ソーシャルブックマークの「レディット」に合流。そのレディットも、ワイアードなどを発行するコンデナストに買収される。

そしてオープンネットのアクディビスト。ネット人権団体「ディマンドプログレス」の共同創設者として、SOPA(オンライン海賊行為防止法案)への反対キャンペーンを推進。

ブルースター・ケイルさんの「インターネット・アーカイブ」のプロジェクト、オープンライブラリーのコーディングもシュワルツさんが手がけたという。

オープンネットの「神童」とも言える存在だったようだ。特に情報のオープン化には力を注いだ。

2009年には、米連邦裁判所の有料判例データベース「PACER」(1ページあたり8セントを徴収しているという)の2割にあたる2000万ページの文書をダウンロードし、無料で利用できる「RECAP」を公開。

これにFBIも捜査に動いたという。

そして2011年1月、MITのネットワークに侵入し、学術ジャーナルのレポジトリ「ジェイストア(JSTOR)」のデータベースの大半にあたる、480万件の学術論文をダウンロードした、として、逮捕。通信、コンピューターへの不正行為など、合わせて懲役35年、罰金100万ドル、あるいはそれ以上の有罪判決の可能性が指摘されていた。

MITのネットワークへの「侵入」の問題はのこるものの、MITのネットワークからは、そもそもJSTORのデータは無制限にダウンロードできる状態だった、という指摘もある。

その経緯については、このテックダートの記事に詳しい。(US Government Ups Felony Count In JSTOR/Aaron Swartz Case From Four To Thirteen

シュワルツさんの自殺について、家族らが声明を発表した。(Remember Aaron Swartz

シュワルツさんはうつに悩まされていたようだが、家族らは自殺とこの捜査・裁判との因果関係を指摘している。

シュワルツさんとかかわりの深かったレッシグさんは、怒りに満ちたブログ投稿をしている。(Prosecutor as bully

だれが被害者でもない学術論文のダウンロードに、テロリスト並の刑を科す意味がどこにあるのか、と。

クリエイティブ・コモンズのサイトでも、シュワルツさんへの追悼文を掲載している。 (Remembering Aaron Swartz

シュワルツさんをレッシグさんに紹介したというSF作家、ブロガーのコリィ・ドクトロウさんも、ブログ「ボインボイン」に追悼分を掲載している。(RIP, Aaron Swartz

ボインボインには、シュワルツさんの特集ページも立ち上がっている。(Aaron Swartz digital archive

こちらは、インターネット・アーカイブのブルースター・ケイルさんの追悼文。(Aaron Swartz, hero of the open world, dies

追悼にかえて、息子さんとともに、シュワルツさんのこのユーチューブ動画を見た、とケイルさんは結んでいる。みなさんも、どうぞ、と。確かに、いいスピーチだ。(F2C2012: Aaron Swartz keynote – “How we stopped SOPA”

ケイルさんはさらに、インターネット・アーカイブ内に、アーロン・シュワルツ・コレクション(The Aaron Swartz Collection)を立ち上げている。

ジャーナリスト/ブロガーのダン・ギルモアさんは、シュワルツさんの死をいたむとともに、今のようなコンピューター法制を見直すよう、すぐに行動を起こそう、と自身のブログガーディアンのコラムで訴えている。(Remember Aaron Swartz by working for open society and against government abuses

『クルートレイン宣言』などで知られるドク・サールズさんも、「様々なイベントで顔を合わせるとき、彼が最年少、私が最年長の出席者だった」と思い出を語る。(Losing Aaron Swartz

同じく『クルートレイン』のデビッド・ワインバーガーさんは、「彼はハッカーじゃなく、ビルダーだった」と裁判に疑問を投げかけている。(Aaron Swartz was not a hacker. He was a builder.

「アーロン・シュワルツは、私たちの世界をより自由にしてくれた。インターネットよ自由であれ。ありがとう、アーロン。きみの功績に感謝を」。政府の文書公開に取り組んで来たカール・マラムッドさんのサイトは、「BE FREE」という文字を懐中電灯で照らすような、追悼ページを立ち上げている。

ウェブの父、ティム・バーナーズリーさんもツイッターでこうコメントしている。「アーロンが亡くなった。世界の放浪者たちよ、我らは一人の賢人を失った。善きハッカーたちよ、その一人が倒れた。すべての親たちよ、一人の子どもを失った。その死を悼もう」

ブログサイト「ギガオム」では、マシュー・イングラムさんがコミュニティーの反応をまとめている。(The web responds to the death of hacker-activist Aaron Swartz

ガーディアンも、元パートナーのクイン・ノートンさんの手記(My Aaron Swartz, whom I loved)や 、ツイッター (Death of internet activist Aaron Swartz prompts flood of Twitter tributes)、ブログ(Aaron Swartz: tech bloggers pay tribute to an internet activist)での反応をまとめている。

JSTORにまつわる事実関係と、想定される量刑とのアンバランスさは、これが「オープンネット」を掲げるオバマ政権下の米国なのか、という驚きが先に立つ。

ネットのコミュニティーを襲った衝撃と怒りがただごとではないことを、ネットの反応自体が示している。

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