ネイティブ広告の境界線

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01/27/2013 by kaztaira

ここしばらく、ネイティブ広告といえば、その失敗例と成功例として引き合いに出されるのが、アトランティックバズフィードだった。

atlanticネイティブ広告に、確たる定義があるのかどうかよく知らないが、一般的には、各掲載メディアのコンテンツの一部として、そのスタイルに沿った形で表示される「コンテンツ型広告」というようなイメージで使われることが多いようだ。

マッシャブルがネイティブ広告とは、をまとめたインフォグラフを紹介しているが、従来からある「アドバトリアル(記事体広告)」ともちょっと違うようだ。

各掲載メディアのブランドのもとで、それ自体コンテンツとして価値があり、ユーザー体験を邪魔しない、口コミでソーシャルにも流通しやすい、というあたりがポイントらしい。

去年ぐらいから、ネイティブ広告についての記事を結構目にするようになった。

たとえばウォールストリート・ジャーナルがバズフィードとネイティブ広告を取り上げたこんな記事。

The Advertorial’s Best Friend/ BuzzFeed Site Relies on Sponsored Content Shared by Visitors on Social Media

バズフィードは、政治などの硬派ネタからオバカネタまで取りそろえた人気ウェブメディアだ。

バズフィードの典型的なネイティブ広告が「クールなハイブリッドの動物たちトップ20 The 20 Coolest Hybrid Animals」。

画像加工でつくりだした「ハイブリッド」な動物、たとえば「ライオン+タイガー=ライガー」といった他愛もないネタを並べたコンテンツ。他愛もないが、これにフェイスブックで3600人が「いいね!」ボタンを押し、1000人が共有した。

スポンサーはトヨタ。コンテンツはプリウスの「ハイブリッド」というコンセプトに焦点をあてている。

そしてこのスタイルは、同サイトのオリジナルのコンテンツ、たとえば「世界をあなただけのキャットウォークにする23曲 23 Songs That Make The World Your Personal Catwalk」のスタイルにうまくはまっている。

ガーディアンによれば、同社は第4ラウンドで1930万ドルの資金を調達。さらにビジネスインサイダーによれば、2012年の売り上げは2000万ドル近いとの見立てもあるようだ。

対する失敗例としてのアトランティック。1857年創刊の堂々たる老舗雑誌だ。同誌がネイティブ広告にのりだし、ウェブに掲載した広告のスポンサーが、何かにつけ話題となる宗教団体の「サイエントロジー」。

今は削除されているが、そのネイティブ広告のPDFがポインター研究所のサイトに保存されている。 昨年1年間に欧米などに開設した12の拠点を写真付きで紹介する内容になっている。

正統派の老舗雑誌と宗教団体のネイティブ広告の組み合わせは様々な反響を呼び、人気ブログサイト「ボインボイン」にはそのパロディーまで登場した。

騒ぎを受けたアトランティックは、広告を削除。現在は「スポンサーコンテンツとそのコメント欄に関するポリシーの見直し中のため、当面、この広告キャンペーンの掲載は見合わせます」との表示が出ている。

さらに同社はコメントを発表

「我々は過ちを犯しました」で始まるその一文は、「新たなデジタル広告の形式を追い求める中で、判断のよりどころとすべきポリシーの更新を怠っていました」と続く。

また、ニューヨーク・オブザーバーがアトランティックのスコット・ヘブンズ社長の社内向けメモというのを掲載している。それによると、ヘブンズさんもこの広告キャンペーンが「自社ブランドにそぐわないものだった」と述べている。

その原因として、デジタル広告における明確なガイドラインとポリシーがなかったことをあげ、特にスポンサーコンテンツに関するガイドラインとポリシーを策定、公開する予定だとしている。

メディアと収入、とくに広告の問題は、関係者なら無関心ではいられないテーマだ。

ジャーナリストのダン・ギルモアさんもガーディアンのコラムで取り上げているしやはりジャーナリストのエリック・ウェンプルさんのワシントン・ポストのコラムさらにウォールストリート・ジャーナルのブログでもこの騒動の問題点を指摘している。

要は何が問題だったのか。

アトランティックのブランドやジャーナリズムに、広告と広告主がそぐうのか。紙の話であれば、歴史をへた広告掲載基準があっただろうが、その物差しが新しいデジタルの広告形態にうまくあてられなかったということだ。

先に紹介したネイティブ広告を説明するインフォグラフが課題としてあげているポイントの一つが、まさにブランドと広告コンテンツの整合性(インテグリティ)だった。

ヘブンズ社長も認めている通り、メディアとしてのネイティブ広告の取り扱いの「基準」が曖昧なまま、取り組みだけが前へ前へと進んでしまった、という点に尽きるのだろう。

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『朝日新聞記者のネット情報活用術』

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