データジャーナリズムで報道局をハックする

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05/05/2013 by kaztaira

なるほどニューヨーク・タイムズはいろんなことをする。

メディアニュースサイト「Journalism.co.uk」にこんな記事が出ていた。

「ニューヨーク・タイムズが報道局分析チームを立ち上げたわけ(Why the New York Times has set up a newsroom analytics team)」

立ち上げたのはアーロン・フィルホファーさん。ニューヨーク・タイムズのインタラクティブニュース・エディターで、ソーシャルメディアとコミュニティーの計3つのチームを統括している。インタラクティブニュース・チームを率いる前は、データジャーナリズムを調査報道に生かす「コンピューター支援報道(CAR)」チームのエディターを努めていた。

フィルホファーさんと言えば、英ガーディアンの「データグル」サイモン・ロジャーズさんらとともに、国際的にデータジャーナリズムをリードする第一人者として知られる

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昨年の「国際ジャーナリズムフェスティバル」に登壇するニューヨーク・タイムズのアーロン・フィルホファーさん(左端)とガーディアンのサイモン・ロジャーズさん(右端)

ちなみにロジャーズさんは、5月いっぱいでガーディアンを去り、米ツイッターに新設されるデータエディターに就任しするという。これはこれで、びっくりするニュースだ。

この2人には昨年、イタリア・ペルージャで開かれた「国際ジャーナリズムフェスティバル」で話を聞くことができ、「データジャーナリズムの世界」という連載記事<>にまとめている。Journalism.co.ukも、先月末に開かれた同フェスティバルでフィルホファーさんにインタビューしたようだ。

フィルホファーさんは特に、データベースとウェブを組み合わせ、読者の参加を呼び込むインタラクティブなデータジャーナリズムの取り組みが際立つ。

2011年5月、国際テロ組織アルカイダ指導者オサマ・ビンラディン容疑者殺害の直後、ウェブ上に特設のアプリを公開し、読者に問いかけた。

「テロリストの死:これは転機なのか?(The Death of a Terrorist: A Turning Point?)」

「ビンラディンの死は、対テロ戦争でどれほど重要な転機だと思いますか?」 「気持ちとしては肯定的ですか否定的ですか?」

それぞれの質問を縦軸横軸に据えた1万を超す升目から、読者が自分に合ったポイントをクリックすると、一言を書き込める。同じ升目を選んだ人数に応じて、濃いブルーへと色が変わる。

書き込み総数1万3864件。まだら模様の広がりは「重要」「肯定的」に色濃く集まったが、読者の思いが一様でないことが一目で見て取れる。

活動はニューヨーク・タイムズ社内にとどまらない。

ジャーナリスト(ハック=売文家の意味がある)とエンジニア(ハッカー)が一緒になってジャーナリズムのイノベーションに取り組むネットワーク「ハックス・アンド・ハッカーズ」の共同創設者でもある。サンフランシスコで発足。いまではブエノスアイレスやヨハネスブルクにも支部がある国際組織だ。

2010年には、「プロパブリカ」のエディターらと共同で、取材の過程で情報公開された貴重な資料をネット上で共有、ウェブの記事などに利用できるシステム「ドキュメントクラウド」を立ち上げている(現在は米
国調査報道記者・編集者協会(IRE)が運営)。

そのフィルホファーさんが新たに取り組むのが、ニューヨーク・タイムズの報道局(ニュースルーム)のハック、だ。

チームメンバーは、ナイト財団とモジラ財団が共催するプロジェクト「オープンニュース」のフェローとしてニューヨーク・タイムズに派遣されている統計専門家/ジャーナリスト/ハッカーのブライアン・アベルソンさんと、社内のデータ分析チームのジェームズ・ロビンソンさんの2人。

従来はマーケティングやウェブ運営のチームがカバーしてきたような読者の「ニュース消費行動」について、データジャーナリズムの第一人者が、「データに基づく判断を編集に生かす」のだという。

「読者がどのようにコンテンツを消費しているのか、コンテンツを正しく発信できているか、時間と手間をかけてつくっているインタラクティブコンテンツは果たして実際に役立っているのか。報道局にいる私たちは、全く何も知らないに等しい」

「膨大な時間をかけているそのプロジェクト、その記事は、実際にはやみくもにリソースを費やして取り組むべきものではないのかもしれない」

報道局がどのようにコンテンツ(ニュース)を読んでもらいたいか、と、読者がどのように読んでいるかの現実。「この2つは、全く別物かも知れない」とフィルホファーさん。

「それを知るには分析をするしかない。それによって読者はどのようなやりとりをしているのか、コンテンツをどう扱っているのかがわかってくる」

具体的なデータの分析方法やその結果についても、是非知りたいところだ。ジャーナリズムの足元のデータのハック。これはとても他人事ではなさそうだから。

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