ネットワークジャーナリズム時代のジャ-ナリストの役割

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05/12/2013 by kaztaira

南カリフォルニア大学(USC)アネンバーグ校のメディアニュースサイト「オンライン・ジャーナリズム・レビュー」でこんな論文が紹介されていた

ジャーナリズムの未来:ネットワークジャーナリズム/ネットワーク化したデジタル時代のジャーナリズム再考

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タイトルはごついが、議論はシンプルだ。やるべきことは多いが、全部一人ではできない。だから、ネットワーク化は当然なのだ、と。

執筆者はオランダのVPROテレビのドキュメンタリー制作者、ブレティ・ファン・デル・ハークさん、同校教授のマイケル・パークスさんマニュエル・カステルさん

シチズン(市民)ジャーナリズムからデータジャーナリズム、イマーシブ(没入)ジャーナリズム、ロボットジャーナリズムまで。今のジャーナリズムの先端の動きをコンパクトにまとめてある。

ネットワークジャーナリズム(Networked Journalism)という考え方自体は新しいものではない。

著名ブロガーのジェフ・ジャービスさんは2006年7月、自身のブログ「バズマシーン」の「ネットワークジャーナリズム」と題した投稿で、「”シチズンジャーナリズム”に対する呼び名としては、”ネットワークジャーナリズム”の方がいいんじゃないかと思っている」と述べている。プロのジャーナリストの一般の人々のオンライン上でのコラボレーション(協業)、というニュアンスが伝わるだろう、と。

ジャービスさんは「ディストリビューテッド(分散型)ジャーナリズム」という言い方もするらしいが、これを新聞関係者の前で使うと「新聞配送トラック」と誤解されるそうだ。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のPOLIS所長、チャーリー・ベケットさんも2008年6月に「スーパーメディア:”ネットワークジャーナリズム”という未来」と題して、やはりプロと一般の人たちの、ソーシャルメディアなどを通じたコラボレーションという文脈で、ネットワークジャーナリズムを取り上げている。

「ジャーナリズムの未来」は、それらの議論をこうまとめている。「あらゆるジャーナリストはネットワークにおけるノード(結節点)になる。情報を集め、処理し、配信する役割を担うのだ」

すでにジャーナリズムの作業は、様々な専門家や市民とコラボレーションしながら、情報の検討と修正、そして最終的にそのエッセンスをニュースとして配信するという流れになっているのだから、と。

アイフォーンやアイパッドなどのアップル製品の製造を手がける富士康科技集団(フォックスコン)の労働環境問題を告発したクラウドソースの調査活動や、アラブの春のきっかけとなったチュニジアの焼身自殺事件のモバイルビデオが、ブロガーを通じてアルジャジーラで取り上げられるなど、ネットワーク化したジャーナリズムは目の前で起きている。

そして論文は、このネットワーク化したジャーナリズムの枠組みで、今起きている様々なジャーナリズムの動きを捉え直す。

英国会議員の経費不正請求問題で、ガーディアンがネット上で読者に資料チェックの協力を呼びかけたクラウドソース

あるいは、執筆者の一人、ファン・デル・ハークさんのテレビ局VPRO制作のアイパッドアプリ・ドキュメンタリー「マネー&スピード」。2010年5月6日、わずか40分で700ドル下げたダウ暴落を、リアルタイムデータのビジュアル化やインタビュー映像でまとめたアプリだ(実際にダウンロードしてみたが、かなり凄い)。

イマーシブ(没入)ジャーナリズムとは、バーチャルリアリティーのユーザー体験をジャーナリズムに取り込む試み。360度のパノラマ画像や、セカンドライフのような3DCG空間でニュースを体験するというコンセプトだ。

グアンタナモ収容所をバーチャル体験する「グアンタナモ湾収容所をオープンに!」などの実践事例もある。

記事自動生成プログラムを手がけるナラティブサイエンスに代表されるロボットジャーナリズム。

そしてビッグデータを扱うデータジャーナリズム・・・。

「ジャーナリズムスクールの卒業生は、メディアに応じた様々な語り口をもっていなければならないし、社会科学の手法も応用できなければならない上に、高度なデータシステムを扱える技術的な専門知識も必要だ。問題は、それらすべての分野でこの新しい専門知識の水準を満たすことのできるようなジャーナリストはほどんといない、ということだ。だからこそ、特定のテーマ、ジャーナリズムの特定のプロセスでの専門性を身につけ、その上で、コラボレーションをする必要があるのだ」

そう、やるべきことは膨大にあるが、一人のジャーナリストが全部はできない。専門分野を持っていることは必要だが、あわせて、ノードとしての役割を担えること。そして、機械作業はロボットに任せ、情報の分析や解説、ニュースの語り口など、人間ならではの機能に注力する。

やるべきことは、結構ある。

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朝日新聞記者のネット情報活用術

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