ザッカーマン新著『リワイヤー』:つながるほど、世界は理解できなくなる

コメントする

05/30/2013 by kaztaira

勤務先が関係するイベントで、MITシビック・メディア・センター・ディレクターで、市民メディアサイト「グローバルボイス」共同創設者のイーサン・ザッカーマンさんが来日する(してる)。

Exif_JPEG_PICTUREそのザッカーマンさんの新著『リワイヤー(Rewire: Digital Cosmopolitans in the Age of Connection)』(の校正刷り。[翻訳ではなく]原著発売は6月17日)を読了。

副題にもあるように「つながる時代」がテーマなのだが、つながりを増幅するツールによって、世界は「複雑に」つながるようになった、とザッカーマンさんは言う。

そして、その複雑さはグローバルに絡み合い、今のようなネット検索や「ソーシャル」なつながり方だけでは、理解できなくなっていると。つながれば、つながるほど、逆に、世界は理解できなくなっているのだと言うのだ。

「(グーグルなどの)ツールは私たちが知りたいことを探し出すのに役に立つが、知っておくべきことを探すのにはそれほど役立ってはいない。知りたいこととは、何を、だれを、私たちが重要だと思うかによって決まってくる。海を隔てたニュースよりは地元のニュースをより小まめにフォローするし、どこかの知らない人よりは、友達の暮らしぶりにより関心を持つ。新聞からソーシャルメディアまで、私たちのメディアツールは、このバイアスを体現している:私たちの欲しいものをさがすのに役立つが、必要なものをさがせるかというと、必ずしもそうではない」

「つながる時代」になったことによって、かえって必要な情報が見えなくなっている、というのだ。

「この複雑で相互に絡み合った世界で何を理解すべきなのか。それは諜報員たちだけの問題ではない。疫学者やCEO、環境保護専門家や銀行員、政治のリーダーや活動家など、あらゆる人々がこの問題にグローバルな規模で取り組んでいる。地球の他の地域からの知見にアクセスし、自分たちの予想とはかけ離れた意見に耳を傾け、予想外のこと、聞いたこともないようなことに注意を向ける。私たちみんなが、そのための手立てが必要なのだ」

そのために、私たちは「つなぎ直すこと(リワイヤー)」が必要だ、というのがザッカーマンさんのポイントだ。

議論は幅広い。1979年のイラン革命から、2002~03にかけての急速なSARSの感染の広がりとメディアの進化。ポール・サイモンのヒット作「グレースランド」と南アフリカ、そして「橋渡し役」の役割。サイバーパンクの金字塔「ニューロマンサー」と都市の隠喩。ロックバンド「ジャーニー」がユーチューブで見つけたフィリピン人ボーカリスト。

「より広い世界と出会うには、自分たちのメディアを変えていき、友だちの輪を広げる必要がある。そのためには、新聞なら数百年にわたって、ソーシャルメディアなら数十年ほどをかけて作り上げてきたメディアのシステムを見直し、つながる時代に必要な機能を果たしているかどうかを検証しなければならない。もし、その機能を果たせていないのなら、私たちはそれをリワイヤーする(つなぎ直す)必要がある」

目次を見ておく。

●序章:秘密と謎
●第1章:つながり、感染、ひらめき
●第2章:仮想のコスモポリタン主義
●第3章:知っていることは、知り合い次第という現在
●第4章:グローバルボイス
●第5章:翻訳の中の発見
●第6章:文脈に導かれて
●第7章:セレンディピティ・アンド・ザ・シティ
●第8章:つながりは受け継がれて

つながる時代をつなぎ直す。イーライ・パリサーの『閉じこもるインターネット』などにもつながるテーマだが、新鮮な論点だ。

ザッカーマンさんが登壇するイベントの方はこちら

———————————-
朝日新聞記者のネット情報活用術
※6月10日にはキンドル版など電子書籍も発売します

cover3

 

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

アーカイブ

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。