ニュースに参加しない日本のユーザー

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06/23/2013 by kaztaira

 「メディア・パブ」の田中さんも書いておられた(「特異な日本のニュースメディア環境、高齢化がさらに際立てる」)が、オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所の「デジタルニュース・レポート2013」が20日に公開された。この研究所はロイター財団の支援で同大政治・国際関係学部につくったジャーナリズム専門の研究機関だという。

Exif_JPEG_PICTURE レポートはネット上のニュースの利用習慣についての国際比較調査で、去年から始めて今回が2回目。当初は米英独仏とデンマークの5カ国が対象だったが、今年から日本、イタリア、スペイン、ブラジルを加えた9カ国の調査になった。

特に日本の特徴が各国との比較で把握できて、首をかしげるようなデータがないわけではないが、かなり参考になる。

ネット利用人口などの基礎データは、「インターネット・ワールドスタット」あたりから引っ張ってきているようだ。日本のネット普及率(80%)は9カ国中フランスと同率4位で、米国よりやや上、英独よりやや下。ただ年齢別にみると日本は55歳以上が44%と9カ国の中でも突出していて、18―24歳は9%。少子化の人口ピラミッドが影響しているのだろう。

【ニュースへの接触】
ネットに限らずテレビや新聞など、1日1度はニュースを見るという割合では日本はトップ(92%)で最下位は米国(76%)。ただ、ニュースへの関心度(関心あり)では71%で、米国と同率6位だ。ニュースが幅広く習慣化しているということだろう。

【ネットと既存メディア】
ネットと既存メディア、どちらでニュースを見るか。ここでは各国の傾向がはっきり分かれた。日本は、「ネットのみ」が13%で、トップ。「ネットのみ」と「主にネット」を足した割合では23%で、ブラジル都市部(29%)、米国(25%)に次ぎ、ネットへのシフトがはっきり出ていて、ドイツ(11%)、フランス(12%)とは対照的だ。逆に「既存メディアのみ」「主に既存メディア」はドイツ(58%)、フランス(56%)に対して、日本は29%、米国(35%)より低い8位。
先週1週間に主として使ったニュースメディアは。日本はネットが39%でテレビ(35%)、新聞雑誌(20%)を上回っている。ネットがテレビを上回っているのは、極端なネットシフトが見られるブラジル都市部(ネット53%、テレビ38%)と日本だけ。フランス(テレビ57%、ネット23%)、ドイツ(テレビ43%、ネット25%)はここでも対照的だ。

【ニュースジャンル】
関心のあるニュースジャンル(五つまで複数回答)は、ちょっと首をかしげるデータ。日本は政治ニュース60%で各国の中でも飛び抜けている。経済ニュース(48%)も米国に次いで高い一方で、エンターテインメント・セレブニュースが18%。ドイツと同率で米国(14%)よりは高いが、そんなもんだろうか?

【新聞購入】
先週1週間に新聞を購入したか。日本は68%で断トツ1位。2位以下(ドイツ56%、英国54%、米国42%)と大きな開きがある。購入方法で、宅配が57%とずば抜けて高率(ドイツ33%、米国25%)なのが効いている。

【デジタル購入】
デジタルニュースの購入は、日本が14%。ブラジル都市部(24%)、イタリア(21%)、スペイン(16%)が高いが、米国は意外にも12%と割合では日本より低かった。課金形態で見ると日本は都度課金(バラ売り)が50%、定期購読が46%とほぼ半々なのに対し、米国は都度課金32%、定期購読60%、逆にフランスは都度課金64%、定期購読28%と極端に分かれた。

【ネット端末】
先週1週間でニュースを見るのに使った端末は。日本はパソコンが68%で一番多く、米独(71%)と英国(67%)の間。極端なのはスマートフォン(19%)、タブレット(6%)がいずれも最下位という点。最も高いデンマーク(スマートフォン43%、タブレット25%)どころか、ネットシフトがさほど進んでいないフランス(24%、11%)、ドイツ(22%、10%)と比べても断然低い。年齢構成が高いということも一因だろう。
それにしても、総務省が6月14日に発表した「平成24年通信利用動向調査」を見ると、2011年末時点でスマートフォンによるネット利用率は31.4%、タブレットが7.9%。特にスマートフォンでの、ロイター調査とのひらきが顕著だ。メディア側のモバイル(スマートフォン)対応がおくれている、ということもあるのかもしれない。この開きを埋めるのは、早急な課題だ。

【コンテンツ類型】
ニュースコンテンツの類型でみると、日本は記事・ブログが67%でイタリアに次いで多かった。逆にビデオ・オーディオが35%と9カ国中で最も低率。ブラジル都市部(64%)、米国(55%)に大きく引き離されている。ただ、写真・グラフ(27%)はブラジル(32%)に次いで高率だった。
残り8カ国を大きく引き離したのが「ライブページ」(35%)。これは欧米などではよく見るリアルタイムのブログ中継「ライブブログ」のことを指しているらしい。だが、ライブブログは日本ではそうは見かけない。レポートをよく読むと、どうもヤフートピックスの速報+関連リンク+フェイスブックコメントのページを、ライブブログの一種とくくっているようだ。これは次ぎのニュースブランドにかかわる、ヤフーの一人勝ちを示すデータでもある。

【ニュースブランド】
先週1週間で接したニュースブランドは。日本は既存メディア65%、アグリゲーター78%、ソーシャルメディア・ブログ30%。英国(87%、32%、31%)など9カ国中で既存メディアがトップでないのは日本だけだ。そして日本の場合、アグリゲーター、つまりコンテンツ収集サイトとは、ほぼヤフーニュースを指す。ネット上のニュースブランドで見ると、ヤフーニュース(63%)、グーグルニュース(21%)、MSN(12%)、日経(12%)、朝日(11%)、NHK(10%)、読売(9%)。既存メディアのブランドで見ると、NHK(50%)、TBS(37%)、テレビ朝日(34%)、日本テレビ(37%)、フジテレビ(36%)、朝日新聞(22%)、読売新聞(21%)の順だ。
端末別でも、パソコンユーザーで74%、モバイルユーザーで70%がヤフーをあげた。
ちなみに米国のネット上のブランドはヤフー(32%)、フォックスニュース(22%)、ハフィントンポスト(17%)の順。

【ニュースへの入り口】
ここでも日本はアグリゲーションサイトが43%ともっとも多く、9カ国中でも最も高率だった。これもヤフー効果だろう。次いで検索サイトが29%。ソーシャルメディア12%と9カ国中で最も低率。ブラジル都市部(60%)、スペイン(45%)とは大きな違いを見せた。これも年齢構成の高さが影響しているのだろうか。

【ニュースへの参加度】
これも日本は特徴的だった。ニュースを共有したりコメントを書き込んだりするニュースへの参加度を見ると、日本は40%で9カ国中最も低率。ブラジル都市部(93%)はおろか、8位のドイツ(60%)からも大きく引き離されている。具体的にはソーシャルネットワークでニュースを共有(8%)、メールでニュースを共有(4%)など一桁台が並び、米国(それぞれ22%、23%)など他の対象国と際立った違いを見せる。
たしかに、欧米ユーザーはコメント欄への書き込みやネット上のディスカッションなど、日本に比べてかなり積極的な印象はある。ただ、ここまで極端に違うかな。それはそれで、別に悪いわけでないけれど。

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