ワシントン・ポストと1万年を刻む時計

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08/12/2013 by kaztaira

ワシントン・ポストは5日、アマゾンCEOのジェフ・ベゾスさんが、2億5000万ドルでワシントン・ポストを買収すると報じた。

Washington Post to be sold to Jeff Bezos, the founder of Amazon (Washington Post)

2013年にして、いよいよリアル「EPIC 2014」か、という話だ。

「EPIC 2014」では、グーグルとアマゾンが合併したグーグルゾンが2014年、パーソナル化されたニュースの自動作成システム「EPIC」を公開。一方で、ニューヨーク・タイムズはネット展開をやめ、エリートや高齢者のための紙媒体のみの新聞になるという結末だった。

リアルで登場したのは、紙の新聞は消えて行くといい、新聞はデジタル版でしか読まないというアマゾンCEOによるワシントン・ポストの買収。そのシナジー効果として、アマゾンのレコメンド機能などを使ったニュースのパーソナル化を指摘する見立ても、そこここで目にする。

一方で、ベゾスさんといえば、長期的思考(ロングターム・シンキング)。創業から利益が出ない出ないと言われ続けて、通年黒字化まで石の上に9年。長期的思考にもなるはずだ。

Amazon founder Jeff Bezos known for patience, focus on detail in his business ventures (Washington Post)

そして、ポスト買収の記事の中では、ベゾスさんが買収金額の約6分の1、4200万ドルを投じているプロジェクトのことも紹介されていた。

ブライアン・イーノさんのCD「JANUARY 07003」(左)とスチュアート・ブランドさんの著書「The Clock of the LONG NOW」

ブライアン・イーノさんのCD「JANUARY 07003」(左)とスチュアート・ブランドさんの著書「The Clock of the LONG NOW」

ロングナウ協会が進める1万年時計のプロジェクトだ。

せいぜい100年から1000年の単位で歴史や未来を捉える思考ではなく、農耕文明からの1万年、そして新たな1万年に向けて考えよう、と呼びかけ、そのモニュメントとして1万年の時を刻み続ける巨大時計を建設するという計画だ。

このプロジェクトは、アマゾンのオープンと同じ1995年に動き出してからもう18年になる。

1万年時計のコンセプトとデザインは、ダニエル・ヒリスさん。並列処理スーパーコンピューターの開発で知られた「シンキング・マシーンズ」の創業者だ。

そしてプロジェクトを主導しているのは、スチュアート・ブランドさん。

ブランドさんのことは、このブログでも「スチュアート・ブランドの視線」「『情報はフリーになりたがる』と言った人」などで紹介してきた。

60年代カウンターカルチャーを代表する雑誌「ホール・アース・カタログ」の発行人であり、スティーブ・ジョブズさんが引用したことで知られる「ステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュ」の生みの親だ。

ブランドさんとは2004年、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジのたもとにあるプレシディオのオフィスでインタビューをさせてもらったことがある。

ロング・ナウ協会代表、スチュアート・ブランド氏に聞く(上)「『時計』は、新たな1万年を考えるためのツールだ」

ロングナウ協会の理事は、このほかに元ワイアードのクリス・アンダーソンさんやケビン・ケリーさん、ポール・サッフォーさん、エスター・ダイソンさんら。

1999年に作成された小型のプロトタイプは、大英博物館に収蔵されている。

動力には砂漠の太陽熱を利用、さらに来訪者の人力も想定している。時を告げる10本のチャイムは、アナログコンピューターで1万年間、すべて違うメロディーを奏でる設計。協会理事でもあるミュージシャンのブライアン・イーノさんは、その5000年後のメロディをシュミレーションした「JANUARY 07003」というCDを出している。

1万年を単位とするので、西暦7003年は「07003」。今年は02013年だ。

「ロータス」創業者のミッチェル・ケイパーさんや「サン・マイクロシステムズ」のチーフ・サイエンティストだったビル・ジョイさんらの資金提供で、ネバダに時計の建設用地も確保していた。

その後、資金繰りが滞っていたようだが、ベゾスさんの資金提供で再び動き出した。

How to Make a Clock Run for 10,000 Years (Wired)

場所は当初予定のネバダではなく、テキサス。すでに掘削作業も進んでいるようだ。時計の全長は200フィート(約60メートル)。ロングナウ協会のサイトに、時計の詳しい説明や動画が掲載されている。

ベゾスさんが立ち上げた専用サイトもある。このプロジェクトには相当の思い入れがあるようだ。

四半期ではなく、1万年のスパンで地球やメディアを考える。インターネット界隈の思想家たちが巨額の資金と時間をかけて続ける、思考実験と巨大建造物の制作。

ワシントン・ポストも、ベゾスさんにとってはロングタームのモニュメントのようなものなのだろうか。

イーノさんの「JANUARY 07003」を聞きながら、ワシントン・ポスト買収劇の記事など、改めて読み直してみる。

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