「ジャーナリスト」を法律で定義する

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08/19/2013 by kaztaira

ソーシャル時代の「ジャーナリスト」の定義については、このブログでも「みんながメディア、ではジャーナリストはだれ?」「『死刑』に向かってジャーナリズムを定義する」などで取り上げてきた。

この話題が今また、議論を呼んでいる。今度の舞台は米連邦議会。法律で「ジャーナリスト」をどう定義するか、という問題だ。

sheildlaw_1特に注目を集めたのが、ジャーナリストに対して、取材源の秘匿などの権利を保護する「メディア保護法(シールド法)」が審議されている米上院司法委員会での動きだ。

Senators spar over definition of ‘journalist’ in seeking to protect them (McClatcy)

Senate Takes Initial Step Toward Media Shield Law (Huffington Post)

今年5月、米司法省がAP通信記者の通話記録を秘密裏に収集していたこと(「ネット傍受の強化が、セキュリティを危険にさらす」参照)や、FOXニュース記者を情報漏洩の「スパイ共謀者」としてメールの捜索を請求した(「電話、入退出記録、電子メール・・・『スパイ共謀者』としてのジャーナリスト」参照)ことが相次いで明らかになった。

批判を浴びたオバマ大統領は「ジャーナリストが職務を遂行することで法的な危険にさらされるのは、あってはならないことだ」と述べ、「我々は議会に対して、政府の越権行為への対抗手段となるメディア・シールド法の成立を求めている」と釈明した。

米ではすでに約40州で州法としてのシールド法はあるが、連邦法としてはこれまで議論は行われたものの、成立にはいたっていなかった。

そして、審議中のシールド法案で問題となったのが、保護の対象となる「ジャーナリスト」をどう定義するか、という点だ。

州法でも、「ジャーナリスト」の書きぶりはまちまちだ

例えばカリフォルニア州のシールド法では、保護の対象となる「ジャーナリスト」を、「発行人、編集者、記者、あるいはその他の人々で、新聞、雑誌、あるいはその他の定期刊行物、報道協会、通信社に雇用されているか、提携している、あるいはその経験のあるあらゆる人々」と定義している。

ワシントンDCのシールド法ではもっとシンプルに「ニュースの取材もしくはニュースの配信業務のためにニュースメディアに雇用されている、あるいはその経験のあるあらゆる人々」とある。

法案は別々のものが上下両院に提出されている。

Sheildlaw_2上院で審議中のチャック・シューマー議員(民主)提出の法案では、保護対象について、「公衆に対して、地域、国内外やその他公共の利益に関わる出来事についてのニュースや情報を配信するための調査や資料収集を主たる目的として、それらの事案について継続的に取材、準備、収集、撮影、記録、執筆、編集、報道あるいは発行を行う人物」とし、「その人物の管理者、雇用主、親会社、子会社あるいは提携先も含まれる」としている。ただし、外国政府やテロ組織につながる人物はこれに含まれない、とする。

この法案に対して電子フロンティア財団は、ニュヨーク・タイムズのような報道機関を想定しており、ブロガーやフリーランスは間違いなく排除される、と指摘する。

ちなみに、下院のテッド・ポー議員(共和)提出の法案では、「金銭的な利益もしくは生計のためにジャーナリズムに携わる人物、そしてその人物の管理者、雇用主、親会社、子会社あるいは提携先も含まれる」として、金銭を得ていることを条件として明確に打ち出している。

収益を得ていない市民ジャーナリストやブロガーは、確実にここには含まれない。

Congress and the Justice Dept’s Dangerous Attempts to Define “Journalist” Threaten to Exclude Bloggers (EFF)

上院の法案に対しては、ダイアン・ファインスタイン議員が、これではウィキリークスのメンバーも保護対象になるのではないか、と批判。報道によって給与を得ている「本物の記者」に対象を限定すべきだとして、「継続的な活動」を強調した修正案を出した。

Why Sen. Feinstein Is Wrong About Who’s a “Real Reporter” (EFF)

これには法案提出者のシューマー議員も反論したという。

「世界は変わった。この法案では、ジャーナリストと、ウィキリークスのような保護を受けるべきでない人々との区別に極めて神経をつかったし、その線引きはきちんとできている」「だが私たちが慣れ親しんだのとは別の方法で、本物のジャーナリズムを行っている人々もいる。その人たちをこの法案から排除すべきではない」

ウィキリークスはそのウェブサイトで「ウィキリークスは非営利メディア組織である」とうたい、ジャーナリズムを標榜しているが、この法案の議論の範疇には入ってこないようだ。

日本にも取材源の秘匿を認めた判例はあるが、シールド法そのものは存在しない。だが、「ジャーナリスト」の定義と保護のあり方は、ますますリアルな課題として突きつけられてくるはずだ。

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