ネットのリンクが犯罪になる

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09/08/2013 by kaztaira

アノニマスのスポークスマンとしても知られたジャーナリストが、ネット上に書き込んだリンクが犯罪に問われ、最長で100年の刑期に直面しているという事件がある。

Barrett Brown Faces 105 Years in Jail (Rolling Stone)

Barrett_Brown

ジャーナリストかどうかに関わらず、ネットにニュースや情報元へのリンクを書き込むことは、日常茶飯事。ブログやツイッター、フェイスブックを使ってやっていることの大半は、リンクの紹介とコメントだろう。ウェブを成り立たせているのは、リンクだ。

それが犯罪になるのだ、という。

ジャーナリストのバレット・ブラウンさんとその弁護団、検察官に対し、テキサス州北部地区連邦地裁(ダラス)が、裁判に関するメディアへの口外禁止命令を出したというニュースを4日、欧米メディアが報じている。

US stops jailed activist Barrett Brown from discussing leaks prosecution (Guardian)

Barrett_Brown_Guardian来春に予定される審理が始まる前に、陪審に予断を与えないため、との理由のようだが、弁護団はブラウンさんの言論の自由を縛るものだとしている。ブラウンさんは昨年9月に逮捕され、拘留中だが、当該事件にはかかわらない執筆活動は続けており、弁護士を通じてメディアにも発表している。口外禁止命令があっても、これについては継続できるようだ。

The cyber-intelligence complex and its useful idiots (Guardian)

ブラウンさんが問われている罪は17件にのぼり、その中には、連邦政府職員への脅迫、証拠隠し、盗まれた情報の頒布、などが含まれるという。

ジャーナリストとしてガーディアンやハフィントンポストにも執筆をしてきたが、国際的な活動グループ「アノニマス」のスポークスマンとして広く知られる〝ハクティビスト(ハッカー+アクティビスト)〟という顔も持つようだ。ただブラウンさん本人は、現在ではアノニマスとの関係は切れた、と述べているという。

2011年、連邦政府の調達先でもあるサイバーセキュリティ会社のHBゲイリーが、アノニマスのシステムに侵入した、と公表したことに対し、アノニマスはHBゲイリーの数万に及ぶ内部メールなどの資料を暴露した。ブラウンさんは、この暴露資料の調査報道を手がけていた。

それにより、HBゲイリーがウィキリークスの支持者や、米NSAの極秘情報収集のスクープで知られるガーディアンのグレン・グリーンワルドさんへのネガティブキャンペーンを仕組んでいたことが明らかになったという。

さらにブラウンさんは翌年、やはりアノニマスが暴露した米政府の情報収集活動の受託会社、ストラットフォーの内部メールの調査を行った。その一環で、取材のクラウドソースとして、暴露資料へのリンクをIRC(インターネット・リレー・チャット)に書き込んだ。この資料の中に、関係者のメールアドレスとクレジットカード番号の一覧表があり、それが盗まれた情報の頒布にあたる、とされたようだ。

Barret_Brown_CPJ米NPO「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」のインターネット・アドボカシー・コーディネーター、ジェフリー・キングさんは、この事件についてこう指摘している。

Journalist Barrett Brown faces prison for posting hyperlink (CPJ)

これは、ネット上で公開されている文書にリンクを張るという、ジャーナリストの日常的な行為が犯罪になりうるということだ。だがそれは、(言論の自由を保障した)憲法修正第一条によって保護されているはずの権利だ。

有罪となれば、萎縮効果も大きいだろう。

リンクが犯罪になる。これは米国だけの話ではなく、日本でもその点が争われた裁判がある。2000年3月に大阪地裁で判決が言い渡された「FLマスク事件」だ。慶応大教授の村井純さんや元東大教授の故石田晴久さん、現MITメディアラボ所長の伊藤穣一さんらも証人となった事件だ。

画像にモザイク処理かけることも消すことも機能をもつソフト「FLマスク」の開発者が、自分のソフトのダウンロードサイトと、後に有罪が確定したアダルトサイトと相互リンクを張っていたことが、わいせつ図画公然陳列ほう助の罪に問われたのだ。

判決は猶予つきながら懲役1年の有罪判決。開発者は控訴せず、一審で確定した。

判決は、開発者がアダルトサイト側に、自作ソフトの使用やリンクの設定を、メールで積極的に働きかけた点が犯罪のほう助行為に当たる、と指摘した。さらに、開発者側からのリンクについても、「わいせつ画像がより多くの者の目に触れるようにした」と認定した。だが、リンク行為そのものが違法となる境界線は、判決からは判然としなかった。

ジャーナリストだけではなく、ソーシャルメディアのユーザーにとっても、これは全く他人事ではない。

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