イラク空爆:報道官はツイッターで声明を出し、NYタイムズは〝特ダネ〟を否定される(更新あり)

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08/09/2014 by kaztaira

米国が8日に行ったイラク北部、イスラム過激派組織「イスラム国」拠点への空爆の最初の公式声明は、ツイッターだった。ウォールストリート・ジャーナルなどが伝えている。

ワシントン・ポストによると、この公式声明の15時間以上前、前日の夕方に、ニューヨーク・タイムズが「米軍、イラクの『イスラム国』を空爆」と〝スクープ〟していたという。

だが米報道官は即座にツイッターでこれを「完全な誤報」と否定。

一方のタイムズの〝スクープ記事〟は、この「否定ツイート」をきっかけに雲行きが怪しくなり、刻々と〝更新〟されていったようだ。

●ツイッターによる空爆声明

米軍機が「イスラム国」のミサイル発射装置に対する空爆を実施した。発射装置は(クルド自治区)アルビルを防衛するクルド人部隊の攻撃に使用されており、周辺には米軍要員も展開していた。

米国防総省の報道官、ジョン・カービー海軍少将が自身の公式ツイッターでイラク空爆について投稿したのは、米東部時間8日午前8時44分だった。

東部時間午前6時45分ごろ、米軍は「イスラム国」のテロリストを標的とした空爆を実施した……

その後、カービー報道官名のより詳しい声明文をメールで公開

午前9時18分に、国防総省のフェイスブックページにも、同じ文面の声明文を掲載している。

最初のツイートは、投稿から1時間で2000回以上リツイートされたという。

●タイムズの〝特ダネ〟

ニューヨーク・タイムズの記事の変遷については、ワシントン・ポストのブロガー、エリック・ウィンプルさんが「イラク空爆、ニューヨーク・タイムズの記事の進化」でまとめている。

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ウィンプルさんが記事の中で紹介しているニュースのトラッキング(追跡)サイト「ニュースディフス」が、その更新を詳しく記録している。

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ニューヨーク・タイムズの記事が配信されたのは7日夕方。

「米軍、イラクの『イスラム国』を空爆」との記事は、クルド幹部による情報として、クルド自治区内のイスラム過激組織掃討のため、米軍が現地時間7日夜に少なくとも2カ所のイラク北部の拠点を空爆した、と報じていた。

これに対して、カービー報道官は午後5時5分に、ツイッターでこの〝スクープ〟を完全否定する。

米国がイラク空爆を行ったとの報道は完全な誤報。そのような攻撃は行っていない。

その30分後、タイムズは見出しはそのままで、記事に「カービー報道官はツイッターで空爆報道は誤りだと述べた」と追加する。

そのさらに30分後、6時11分には、見出しが「イラク内の武装組織に空爆、クルド幹部」となり、「米軍」という言葉が消える。

6時29分には、「武装組織『イスラム国』への空爆始まる、イラク・クルド幹部」との見出しになり、米政府当局は完全否定しているが、イラクもしくはトルコによる空爆の可能性を示唆した、との記事内容になっている。

また、当初記事はイラク北部ドホーク発のクレジットだったが、この更新からはワシントン発となっている。

●大統領が声明を出す

7時48分の更新では、ワシントン発で見出しはそのままだが、トルコ政府幹部が空爆を否定した、との情報が追加されている。

8時50分には、記事の見出しはそのままで、記事の書き出しは政府当局者の話として「オバマ大統領は7日、イラクへの食料と医薬品の投下を承認した」となる。

そうこうするうち、9時4分に、ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官が、ツイッターでこんな投稿をする。

今晩、大統領がイラク情勢について公式晩餐会室から声明を発表する。時間は追って。ホワイトハイス・ライブで。

午後9時半からのオバマ大統領の会見を受けて、11時8分のバージョンでは、記事は見出しとともに、大きく変わる。

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オバマ大統領、イラク反政府組織への空爆承認

そして、最終的に、「オバマ大統領、『イスラム国』への限定空爆承認」という記事になる。

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1400語近い記事中で、次の1段落が、当初の記事の面影を残している。

クルドとイラク政府幹部は7日夜にイラク北部の「イスラム国」支配地域の2都市――エルビル近郊のグエルとマフムール――に空爆があったと述べた。7日、ニューヨーク・タイムズは、この空爆が米国機によるものであるとのクルドとイラク政府幹部の証言を引用した。

【更新】10日17:30
※ニューヨーク・タイムズは結局、9日付けで訂正を出している

本記事の早い版、さらに関連するオンラインのニュースアラートは、クルド自治区幹部による情報に基づき、当該地域への米国による空爆開始について誤った情報について言及していた。クルド幹部は空爆が7日夜に行われたと述べたが、国防総省は米国の空爆は8日まで実施されていないと述べている。その後の報告でも、米国による7日の空爆を裏付けるものはない。

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※このブログは「ハフィントン・ポスト」にも転載されています。

※GQ JAPANのウェブサイトに、「ジャーナリズムの伝統と流行」というテーマで、筆者のインタビュー記事が掲載されています。「ジャーナリズムが得た新たな表現方法──平和博よろしければどうぞ。

Twitter:@kaztaira

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