フェイスブックが有権者の知らないうちに選挙に影響力を持つ

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11/01/2014 by kaztaira

11月4日の米中間選挙を前に、フェイスブックの〝選挙実験〟の話題が再び盛り上がっている。

前回2010年の中間選挙でも「今日は投票日」の特別メッセージで投票率を上げる効果があった、というフェイスブック。今回もまた、この特別メッセージを使う予定のようだ。

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ただ、フェイスブックはユーザーの気付かぬところで様々な実験をすることで知られる。

2010年の投票率上昇の効果も、そんな実験によって明らかになっており、2012年にはユーザーの〝感情伝染〟を操作する実験をしていたことが批判の的になった。

そして、2012年の大統領選でも、やはりユーザーの気付かぬところで〝選挙実験〟を行っていたのだいう。

一方では、米ネットワーク局のABCやバズフィードと提携。フェイスブックのユーザーの解析データを提供し、今回の中間選挙や2016年の大統領選の報道に利用していくという。

フェイスブックがコンテンツを表示するアルゴリズムは非公開だ。

そんなフェイスブックが、選挙に影響力を持つことが前提の社会になった、ということなのだろうか。

●〝硬派ニュース〟を増やす

『ウィキリークス革命―透視される世界』などの著書で知られるライターで政治コンサルタントのミカ・L・シフリーさんが、雑誌「マザージョーンズ」の記事で、2012年の大統領選での実験を取り上げている

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それによると、フェイスブックは190万人のユーザーを対象に、大統領選投票日の3カ月前から、ニュースフィードのトップに、政治経済などのいわゆる〝硬派ニュース〟の表示を増やしたという。

フェイスブックはこの時、〝投票メガフォン〟と呼ばれる投票を呼びかける特別メッセージを表示することを、公式ページで表明している。

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ただ、この実験を行うことについての告知はなかった。

そして、自己申告ベースの結果を見ると、〝硬派ニュース〟の表示を増やしたユーザーは、他のユーザーに比べて、明らかに投票率が高くなっていた、という。

特に、フェイスブックの利用頻度の低いグループで投票率の上昇が顕著で、〝硬派ニュース〟表示増加のユーザーは67%超に対して、他のユーザーは64%と、3%以上も開きがあったという。

この研究を担当したフェイスブックのサイエンティストが、その結果を講演している動画がユーチューブで公開されていたようだ。

だが、シフリーさんがこの件で取材依頼をしたところ、間もなく動画は削除されたという。

その動画を撮影したものを、シフリーさんがユーチューブで独自に公開している。

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●知らぬうちに動かす

フェイスブックが、気付かぬうちにユーザーを動かす、という事例は、「フェイスブックはアルゴリズムを操作して選挙結果も動かせるのか」や「フェイスブックがユーザー689,003人の感情をコントロールする」でも紹介した。

2010年の中間選挙では、6100万人の有権者のページトップに、投票したことを友達に知らせるボタンのついた〝投票メガフォン〟を表示。

その結果、34万人を動員、投票率を0.4%引き上げたと、2012年9月に「ネイチャー」に報告している

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ただ、シフリーさんは、女性、若者、都市居住者というフェイスブックのユーザー傾向が民主党支持層と重なるとし、〝投票メガフォン〟が選挙結果に影響する可能性を指摘する。

そして、そこに恣意的な〝操作〟が入っても、外部からは伺い知ることができない、と。

その危惧は、2012年にフェイスブックが実施した〝感情伝染〟実験を見ると、さらに影を落とす。

6月17日付けの科学専門誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」で発表された実験では、対象のユーザーは約70万人。

投稿を「ポジティブ」と「ネガティブ」に分類し、それぞれの増減がユーザーの感情表現にどう影響するか、を分析したものだ。

気付かぬ間に感情を操作された、と批判が沸き上がったのは無理からぬことだ。

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●選挙報道に反映する

そして、そのようにしてフェイスブックにため込まれたユーザーの分析データが、今度は選挙報道にも反映されることになるようだ。

ポリティコのディラン・バイヤーズさんが報じ、フェイスブックも事実関係を認めたようだ。

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それによると、フェイスブックは18歳以上の有権者の投稿内容から、候補者や課題についての反応を「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」に分類。データは性別や地域など、さらに細かい属性ごとに分類もできるという。

2016年の大統領選に向けた提携だというが、ABCは今回の中間選挙でもこのデータを利用していくという。

●フェイスブックの存在感

ピューリサーチセンターが最近公開した調査では、48%の回答者が政府や政治に関するニュースをフェイスブックで目にする、という。

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これはCNN(44%)を上回り、地元テレビ(49%)に匹敵する。

その存在感と〝実験〟の居心地の悪さが両立しているのが、フェイスブックだ。

【追記】

フェイスブックが通信経路の匿名化ソフト「Tor(トーア)」に対応した、という発表があった

「Tor」については、以前に「米軍製匿名ネットとPC遠隔操作」でも紹介した。従来は、「Tor」経由のアクセスを、フェイスブックがはじいてしまう挙動があったようだ。

実名主義のフェイスブックが通信経路の匿名化、というのは、これもなんとも奇妙な組み合わせではある。

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※このブログは「ハフィントン・ポスト」にも転載されています。

Twitter:@kaztaira

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