「わたしは大人」SNSで8~17歳の3割がウソをついている、その本当の危険度とは?

10/14/2022 by kaztaira

8歳から17歳の3割がソーシャルメディアで「わたしは大人」とウソをついている――。
 
 
英国の情報通信庁(Ofcom)が10月11日に発表した調査で、そんな結果が明らかになった。
 
多くのソーシャルメディアでは、利用できる年齢を13歳以上としているが、13歳未満のユーザーの6割が自分のアカウントを作成して利用。しかもその3分の2は、アカウント作成を保護者が手伝っていた。
 
子どものソーシャルメディア利用をめぐっては、様々な事件が問題化し、対策の必要性が指摘されてきた。
 
「わたしは大人」とウソをつくことの、本当の危険度とは。
 

●8~15歳で半数近くが「16歳以上」

 
調査の結果、ソーシャルメディアにプロフィールを持つ8歳から15歳の子どもの半数近く(47%)が、ユーザー年齢を16歳以上としており、8歳から17歳の子どもの32%がユーザー年齢を18歳以上にしていることがわかった。
 
英情報通信庁は10月11日、そんな3種類の調査をまとめた結果発表している。
 
このうちコンサルティング会社に委託した調査は、保護者を通じて募集した8歳から17歳のソーシャルメディアユーザー1,039人を対象に、7月中旬に実施。回答は自己申告に基づいている。
 
調査対象としたソーシャルメディアは、フェイスブックユーチューブインスタグラムスナップチャットティックトックツイッターの6つのサービスで、いずれもユーザー登録には13歳以上の年齢制限を設けている。
 
またユーチューブインスタグラムティックトックのように、13~17歳では利用できる機能に制限がかけられているサービスもある。
 
このうちインスタグラムティックトックでは、2021年から16歳未満のアカウントをデフォルトで非公開としている。
 
だが今回の調査では、本来はソーシャルメディアの利用可能年齢に達しない8歳から12歳の39%が16歳以上のユーザーとしてのアカウントを持ち、23%は大人(18歳以上)として登録していた、と推定している。
 
調査では、多くの子どもたち、特に低年齢層(8~12歳)が、ソーシャルメディアのアカウントを開設する際に、保護者が協力していたことがわかった。
 
情報通信庁はリリースでそう述べている。保護者がアカウント開設を手伝っていたケースは最大で3分の2に上るという。
 
保護者はなぜ、子どもたちの「年齢制限破り」を手伝うのか?
 

●なぜ保護者が手伝うのか?

 
オンラインではなくても、友達やクラスメートとの会話では、ソーシャルメディアやオンラインゲームの最新の話題になることがよくある。そのため、これらのプラットフォームを使っていない子どもたちは、会話や友達のグループから疎外されていると感じることがある。
 
「仲間外れ」にならないようにというプレッシャーは、子どもたちだけでなく、保護者も感じており、「年齢制限破り」を手伝う動機になっている、という。
 
ただし、その危険性については、十分に理解されていない、と調査は指摘する。
 
8歳の時点で13歳としてアカウントを開設した場合、5年後に実年齢が13歳になったときには、ソーシャルメディア上では18歳の成人の扱いになり、年齢による機能制限が解除され、アダルトコンテンツの閲覧やダイレクトメッセージのやり取りが可能になったりする。
 
ソーシャルメディアを利用してプロフィールを作成している8歳から12歳の子どもたちの約4分の1が、18歳以上としてのプロフィールを作成している。つまり、多くの子どもたちが、有害なコンテンツを見たり、実年齢を知らない他のユーザーから連絡を受けたりする危険にさらされているということだ。
 

●10代へのSNSの影響

 
英国では、10代へのソーシャルメディアの影響が大きな波紋を呼んでいる。
 
2017年に当時14歳だったモリー・ラッセルさんが亡くなった事件をめぐり、その死因を特定する審問で、「うつ病とオンラインコンテンツの悪影響に苦しんでいる間の自傷行為によるもの」、との結論が2022年9月末に出されている。
 
モリーさんは亡くなる前に、インスタグラムとピンタレストで、自傷行為などに関する大量のコンテンツを閲覧していたという。
 
またインスタグラムをめぐっては2021年9月、フェイスブックの元プロダクトマネージャー、フランシス・ホーゲン氏による社内資料に基づく告発から、10代の少女たちのメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていることを、社内調査で把握していたことが明らかになっている。
 
英国では、有害コンテンツ対策のための「オンライン安全法案」が審議中で、未成年への制限措置も盛り込まれている。
 

●SNSと子どもたち

 
今回の調査は、自己申告がベースになっているため、「年齢制限破り」をしていることを明かさなかったり、アカウント開設の際の記憶があいまいだったりするケースもあり得るという。実際には、さらに広がっている可能性もある、ということだ。
 
同様の傾向は、英国に限ったことではない。
 
東京都の都民安全推進本部が2021年4月末に発表した調査では、ソーシャルメディアの年齢制限について、小学生から高校生までの保護者の38.6%が「知らなかった」と回答している。
 
また、年齢制限があるツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ティックトックについて、13歳未満の約1割が利用していたという。
 
さらに、子どもがソーシャルメディアで知らない人とやり取りをしたことがあるか、との設問では「ある」が全体で19.8%。このうち小学校低学年が最も多く27%に上った。
 
警察庁がまとめたソーシャルメディアに起因する18歳未満の被害事件の被害者数は2021年で1,812人。青少年保護育成条例違反が665人(37%)と最も多く、次いで児童ポルノの657件(36%)、児童買春の336件(19%)と続く。
 
また、このうち重要犯罪の被害者は141人で、内訳は略取誘拐86人、強制性交等34人、強制わいせつ17人、強盗2人、殺人2人、となっている。
 
被害者数は2017年(1,813人)、2018年(1,811人)、2019年(2,028人)、2020年(1,819人)。2019年に増加がみられるものの、この5年間、ほぼ同様の傾向が続く。
 
被害者数が多いサイトは、2021年のトップがツイッターの668人(37%)、次いでインスタグラムの350人(19%)。2020年も同様に、トップがツイッターが642人(35%)、次いでインスタグラムの221人(12%)だった。
 
ソーシャルメディアにおける実効性のある未成年ユーザーの保護策は、国を問わず、喫緊の課題となっている。

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